渡嘉敷村の慶伊瀬島(通称チービシ)のクエフ島北西海岸で男女2人が潮に流され、那覇市の女性(40)が行方不明となった事故で、那覇海上保安部は30日、漂流していた女性を同日午前、約7キロ離れた那覇港沖で発見し、無事救助したと発表した。29日正午すぎの漂流から約19時間後の救助。女性は本島南部の病院へ搬送されたが意識はあり、生命に別条はないという。

船員に引き上げられた後、海保のヘリに救助される女性=30日、神山島灯台の南東4キロ沖合(第11管区海上保安本部提供)

船員に引き上げられた後、海保のヘリに救助される女性=30日、神山島灯台の南東4キロ沖合(第11管区海上保安本部提供)

 那覇海保によると女性は仲間4人で慶伊瀬島沖にヨットで訪れ、午後0時20分ごろダイビングを開始。その直後、潮に流された男性(66)を助けようと海へ入り約500メートル離れた地点で合流できたが、そのまま行方が分からなくなった。

 男性は約3時間後に現場から南西約7キロメートルの海上で無事発見されたが、女性は見つからず那覇海保が捜索を続けていた。30日午前7時55分ごろ、神山島灯台の南東4キロ沖合で民間タグボート「第8大王丸」が女性を見つけ、救助。那覇海保がヘリなどで搬送した。

 女性は発見時、黒のウエットスーツ姿で、緊急時に空気を入れ膨らませ浮くことができる「BCジャケット」も身に着けていた。搬送時、意識ははっきりし自力歩行もできたという。

■強い意志と技で生還 急流に耐え「奇跡」女性救助

 「信じていた」「良かった」。渡嘉敷村の慶伊瀬島(通称チービシ)沖で29日、男女2人が潮に流された事故。同日救助された男性(66)に続き、行方不明だった女性(40)も19時間余りの漂流の末、救助され、関係者は胸をなで下ろした。女性はダイビングインストラクターの有資格者で漂流後も潮流を読むなど「冷静沈着だった」と関係者。「助かったのは技能と強い意志。奇跡だ」と生還した喜びをかみしめた。

 第11管区海上保安本部によると現場は干満差で速い潮流が生じるポイント。流れに身を任せる「ドリフトダイビング」もでき、上・中級者の人気スポットだ。事故時は干潮で秒速1メートル、時速3・7キロの潮流があり、離岸流(リーフカレント)と同等の速さだったとみられている。

 同船した知人男性(70)によると女性は助けようとした男性と合流後、水深20メートルまで潜り戻ろうとしたが流された。その後2人ははぐれ、女性は19時間余り漂流した。救助後、女性は男性らに「自分は那覇に上陸する」という強い意志で体力の消耗を抑えて泳ぎ続けた-などと話したという。

 救助したタグボートの男性航海士(32)は、ボートへ引き上げた際に女性が「ずっと泳ぎっぱなしで、もう駄目かと思った。やっと地面に足が着いた」と顔をほころばせたといい、「本当に良かった。諦めないで泳いでくれたから助けられた」と話した。

 一方、那覇海保は助かった背景に、ウエットスーツと緊急時に膨らますジャケットの着用で「浮力と体温を同時に保てたことが大きい」と分析した。