猫娘に子泣きじじい、ねずみ男-。道すがらキャラクターの像に次々と出会い、約150体の中からキジムナーを見つけたときは喜びもひとしおだった

 ▼鳥取県境港市の「水木しげるロード」を訪れたのは3年前。漫画「ゲゲゲの鬼太郎」の妖怪たちが雨の旅を楽しくさせた。郷愁が呼び覚まされ、目玉おやじの前では「おい鬼太郎!」と物まねが口をついた

 ▼怖いけれど愛らしさを持ち合わせ、子どもたちを魅了する妖怪の世界へ誘った漫画家の水木しげるさんが昨日、死去した。鬼太郎が世代を超え長く愛されるのは、作者の貧困や戦争体験から来る優しさがにじみ出ているからだろう

 ▼水木さんは21歳で召集された。ラバウルでは軍隊になじめず上官からよく殴られたが、現地の人とは友達になった。部隊が全滅し、1人生き残ったがなぜ玉砕しなかったかと責められた。左腕は爆撃で失った。体験を元にした漫画で、戦争の愚かさを告発した

 ▼沖縄とのつながりもある。シーサーやアカマタといったキャラクターのほか、国頭村には「鬼太郎ハウス」がある

 ▼振り返れば主題歌の「朝は寝床でグーグーグー」「おばけにゃ学校も 試験も何にもない」に癒やされた。苦難の人生をひょうひょうと生きた水木さんの幸福や平和への思いが感じ取れたからこそ好み、口ずさんだと思う。(与那嶺一枝)