地球温暖化対策を話し合う国連の気候変動会議(COP21)が、パリで開かれている。

 温暖化による海面上昇で水没の危機にある島国の首脳が「私たちが生き延びることができるかどうかは、この会議の決定に懸かっている」と訴えたことに象徴されるように、問題は差し迫っている。国際社会の協力で、大胆かつ実効性のある「パリ合意」をまとめてほしい。

 COP21が目指すのは、1997年に採択された京都議定書に代わる温暖化対策の新たな枠組みづくりである。

 初日の首脳会議では約150カ国の首脳らが、二酸化炭素など温室効果ガス削減への決意を述べた。新興国や途上国のリーダーも参加して気候変動に立ち向かう意志を示した意味は大きい。

 中でも注目を集めたのは、中国の習近平国家主席と米国のオバマ大統領だ。世界第1位と2位の排出国でありながら、京都議定書に加わらないなど消極的だった両国の新たな動きが、今後の合意の実効性を左右する。

 COP21を前に主要排出国は、2025~30年までの削減目標を公表している。

 しかし、その努力はまだまだ足りない。

 条約事務局によると、各国の温室ガス削減目標を足し合わせても、世界の気温上昇を産業革命から2度未満に抑えるという国際目標の達成は困難だ。

 将来の大幅削減に道筋をつけるためには、化石燃料に依存する社会からの転換にも踏み込み、目標の上積みを図る必要がある。

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 COP21は同時多発テロ直後の厳戒態勢が続くパリでの開催だ。

 議長国フランスのオランド大統領が、温暖化とテロを「二つの地球規模の課題」と発言したのは、温暖化が紛争の一因になっているという懸念からだろう。 

 気候変動による災害や飢饉(ききん)が政情不安を招き、紛争の引き金となっているとの指摘は以前からある。

 欧州に流入するシリア難民の問題も、元をたどれば06年から数年間続いた大規模な干ばつが要因の一つとされる。

 11日まで続く会議では、温暖化の被害を受けやすい発展途上国への資金援助なども課題となっている。

 過去にたくさんの温室ガスを排出し経済成長を遂げた先進国は、温暖化を招いた責任にも向き合わなければならない。

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 首脳会議で演説した安倍晋三首相は、省エネルギー分野の技術革新で削減に貢献する決意と、年間1兆3千億円の途上国支援を打ち出した。

 技術開発は日本が得意とする分野だが、一方で「30年度までに温室ガスを13年度比で26%削減する」という削減目標への国際的評価は芳しくない。世界第5位の排出国として、日本がその責任を果たさなければ、国際交渉での発言力は低下する。

 地球の生命と未来が懸かっている問題だ。排出削減へ取り組む意欲が感じられる数値目標を掲げ、行動することを求めたい。