冬季スポーツがぐっと身近になった、そう感じた17日間だった。

 韓国北東部を舞台に繰り広げられた平昌冬季五輪が閉幕した。日本選手団は、金4個を含む史上最多13個のメダルを獲得。氷雪を溶かすほどの熱い戦いは、私たちの記憶にしっかりと刻まれた。

 中でも心揺さぶられたのは、フィギュアスケートの羽生結弦選手の演技だ。右足首の大けがを乗り越え、ほぼ完璧なスケーティングとジャンプで66年ぶりとなる五輪2連覇を達成した。

 冬季競技がそれほど浸透していない南国沖縄でも羽生選手の人気は高く、演技時には家電量販店のテレビの前に人だかりができるほどだった。

 女子選手の活躍も著しかった。

 スピードスケートは、小平奈緒選手が500メートルで五輪新記録をつくり圧勝。団体追い抜きは高木美帆選手を中心とした日本チームがオランダを破り金メダルを手にした。高木菜那選手は新種目のマススタートで初代女王となった。

 記憶に刻まれたのはメダルの色や数だけではない。

 栄冠をつかんだ小平選手が2位で涙を流した韓国選手に歩み寄り、優しく肩を抱くシーンはじーんときた。アジアから世界に挑んだ2人が、友人として悩みを共有しながら、ライバルとして切磋琢磨(せっさたくま)

してきた姿が浮かぶ。

 男女通じて初となる銅メダルに輝いたカーリング女子の試合も印象的だった。経験や技術、チームワークに加え、どんな時も笑顔を絶やさない戦いぶりは、カーリングファンを増やしたに違いない。

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 開会式で韓国と北朝鮮が、合同入場行進を実施するなど、「南北融和」をアピールする色彩が濃かった大会でもある。 

 年が明けて金(キム)正恩(ジョンウン)朝鮮労働党委員長が五輪参加を示唆してから事態は急に動きだし、間もなくIOCが参加を正式承認、アイスホッケー女子の合同チーム「コリア」が結成された。

 対話の機運を盛り上げたい韓国、米国主導で強まる国際包囲網に風穴をあけたい北朝鮮。融和ムード演出の陰に政治的思惑があったことは否定できない。

 しかしだからといって平和の祭典としての五輪の役割が否定されたものではない。五輪を契機に実現した南北首脳級会談を、朝鮮半島の緊張緩和と関係改善につなげるべきだ。

 大事なのは聖火が消えた後の継続した対話である。

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 大会は2020年の東京五輪に向けても多くの教訓を残した。

 フィギュアスケートが午前に始まり、スキージャンプが深夜に及んだりしたのは、巨額の放送権料を支払う欧米テレビ局の事情を優先させたからだという。

 国家ぐるみのロシアのドーピング問題も尾を引いているが、今回、残念だったのは日本代表の1人から陽性反応が出たことだ。

 東京では、「アスリートファースト」の原則を徹底し、クリーンな大会を目指したい。