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  • MICE施設の展示スペースを当初構想の1.5倍に拡張へ
  • 沖縄県は経済界の声を受けて見直しを進めている
  • さらに展示場の拡張余地を残す案も検討している

 沖縄県が2020年の運用開始を目指す大型MICE施設の建設で、国際的な見本市などを開催する展示スペースの規模を当初構想の2万平方メートルから、1・5倍の3万平方メートルに拡張できるよう見直しを進めていることが2日までに分かった。大型展示場本体の規模(2万平方メートル)は維持し、隣接施設との一体的な運用で残り1万平方メートルを確保。見本市開催のニーズを見極めた上で、将来的には展示場の増設も視野に入れる。年内にも翁長雄志知事が判断し、公表する。

大型MICE施設の建設地、中城湾港マリンタウン地区

 展示場の規模は、見本市ビジネスの経済効果の大きさなどから、沖縄経済同友会が拡張を求めていた。県は経済界の声を受けて見直しを進めている。

 県は5月、与那原町と西原町にまたがる「中城湾港マリンタウン地区」へのMICE施設建設を発表。見直し後の設計素案は展示場(2万平方メートル)に多目的ホール(7500平方メートル)やホワイエと呼ばれる会議室(2500平方メートル)をつなげ、展示スペースを3万平方メートルに拡張する。さらにMICEの敷地内に約1万平方メートルの拡張余地を残し、展示場を増設できる案も検討している。(久高愛)

■経済界が評価 採算性には課題も

 県がMICE施設の展示スペースの規模を当初の2万平方メートルから3万平方メートルに拡張する方向で検討していることが明らかになった。展示場ビジネスは規模が重視され、経済界から「世界水準の5万平方メートルは必要」との声が上がり、その要望に配慮した形だ。経済界には見直しに一定の評価があるものの、将来の増設を求める意見、規模拡張に伴う採算性への影響など、期待と懸念が入り交じる。国際的なビジネスチャンスを逃さず、施設を安定運営し、本島東海岸の活性化にどうつなげるのか。規模見直しを含め、早急に全体像を示す必要がある。

 大型MICE施設は「西高東低」の観光格差是正を目的に、ことし5月、県が与那原町と西原町にまたがる中城湾港マリンタウン地区に決定。県は沖縄のリゾート性を重視し、多様なMICE(会議、報奨旅行など)のニーズに対応できるよう設計を進めてきた。

 MICEの中で経済界が着目したのは、参加者の規模や会場設営などの経済効果が大きな「E」(展示会・見本市)。沖縄経済同友会や沖縄懇話会は「国際的な展示会を誘致するためには、最低5万平方メートルの展示場が必要」と要望してきた。

 国内最大規模の食品の商談会「沖縄大交易会」にかかわる、沖縄懇話会の安里昌利事務局長(県経営協会長)は、県の見直し案を評価する一方で「展示棟は簡素に建設費を抑え、規模を拡大してもいいのではないか。ANAハブ、ロジスティクスセンターに次ぐ、国際物流の拠点になる」と将来の増設に期待する。

 沖縄経済同友会の会員、りゅうぎん総研の池端透社長も「まずは3万平方メートルから始め、5万平方メートルに向け展示会の実績を作っていけばいい」と理解を示す。さらに「将来の需要増加を見込み、拡張計画をスケジュールに組み込むべきだ。増設の実現性を担保してほしい」と求めた。

 県の調査によると、展示会は回を重ねるごとに大きくなる傾向があり、展示面積が2~3万平方メートルに成長するには10年以上かかる。東京ビッグサイトで開かれるエネルギー業界の見本市「スマートエネルギーWeek」の場合、24年目で2万3514平方メートルになった。実際、14年度に国内で開催された大型展示会は5万平方メートル以上が7件、3万平方メートル以上が9件にとどまる。

 展示場の規模拡大に伴う採算性への影響、受け入れ態勢も課題だ。県は2万平方メートルの場合、1年目に約2億円の赤字を見込み、黒字転換は7年目と試算する。

 観光業界関係者は「施設運営は県税で賄われる。県民が納得できる運営を目指すべきだ。航空便数や宿泊施設などの対応能力も見極めなければならない」と強調。別の関係者も「展示場の規模だけにとらわれず、沖縄全体で『ビジネスリゾート』をどう構築するのか。もっと大局的な議論が必要だ」と指摘している。