この記事を読んだら早速自分のことを誰かに話してください。

 何を話すか、それは自分が病気になったときのことです。意識があり、自分で判断して意思を伝えることができるときは問題ないのですが、意識が無いとき、重症の病気や認知症で正常な判断ができないとき、自分の意思は伝わりません。そしてそのときは突然やってきますから、手遅れにならぬように自分の意思を誰かに伝えてほしいのです。

 何を伝えるか。最低限、(1)心肺蘇生をするかしないか(2)人工呼吸器を使うか使わないか(3)食事ができなくなったとき流動食のために胃にチューブを入れるか入れないか(4)自分で判断できなくなったとき判断を誰に委ねるか、を伝えてください。他にがんができたとき、介護が必要になったとき、脳死になったときなどあらかじめ考えておいた方がよいことは多数あります。

 なぜか。それは治療法が幾つもあるからです。治療法の選択に自分の意思が反映されるよう自分の意思を明確にして正確に伝えなければなりません。自分の意思は自分にしか分かりません。例え配偶者、親子、兄弟でも分かりません。伝えておかなければ、自分の意に反する医療を受けるかもしれません。

 何時、それは今です。災難は何時やってくるか分かりません。早ければ早いに越したことはありません。

 誰に。それは配偶者、親、子、兄弟、親しい友人、自分の世話をしてくれる人など、いつも一緒にいる人、良き理解者、頼れる人です。そこで大切なのは、複数の人に伝えておくことです。家族が集まって相談するとき、1人だけが知っていても他の人が知らなければ、多勢に無勢、知らない人の意見がまかり通るかも知れません。必ず複数の人に伝えることが大切です。

 どのように伝えるか。口頭で伝えると、忘れたり、間違って記憶したりするかもしれません。必ず、文書にして残すようにして下さい。

 また、伝える人がいないときは、自分の意思を書いた書面を常時携帯するとよいと思います。私の知った方は「回復不可能、意識不明の場合、苦痛除去以外の一切の延命治療はご辞退申し上げます」と記し、年月日、署名、押印した名刺(第三者の署名押印があると更に良い)を健康保険証と一緒に持ち歩かれています。 

 尊厳死を勧めているのでは決してありません。「あらゆる手段を使って生きたい」と思うことも正しいと思います。自分らしい生き方をするために、ぜひ、今日自分のことを誰かに話して下さい。(今山裕康 まえだクリニック)