琉球大学農学部と、泡盛造りに必要な黒麹(こうじ)を製造・販売する石川種麹店(北谷町)の研究グループは27日までに、黒麹由来の酵素が古酒特有のバニラ香のもととなる物質を作っていることを明らかにした。研究グループによると、黒麹を長時間発酵させることで古酒特有の香りが出ることは経験的に知られていたが、科学的に証明するのは初めて。同大の平良東紀教授は「泡盛が古酒化するメカニズムは分かっておらず、解明への一助になる」と話している。(政経部・下里潤)

米麹を作る過程

古酒特有のバニラの香りについて意見を交わす(右から)琉球大学大学院生の真栄田麻友美さん、平良東紀教授、石川種麹店の渡嘉敷みどり代表ら=西原町・琉球大学

米麹を作る過程 古酒特有のバニラの香りについて意見を交わす(右から)琉球大学大学院生の真栄田麻友美さん、平良東紀教授、石川種麹店の渡嘉敷みどり代表ら=西原町・琉球大学

 平良教授に学ぶ同大大学院2年の真栄田麻友美さん(24)を中心に論文を執筆し、14日付で日本生物工学会の「ジャーナル・オブ・バイオサイエンス・アンド・バイオエンジニアリング」に受理された。ウェブでも公開される。

 研究によると、古酒の代表的なバニラの香りは、米に含まれるフェルラ酸が泡盛製造の過程で、4-VGという香りのもととなる物質に変化することが知られているが、その仕組みは解明されていなかった。

 研究グループは黒麹の遺伝子を解析し、フェルラ酸を4-VGへと変化させる酵素を作り出すことに成功。実際の泡盛製造過程でも同酵素が働くことを確認し、黒麹が古酒のバニラ香のもととなる物質を作ることを証明した。

 麹づくりは一般的に2日かけるが、3~4日かけて長時間発酵させた方が4-VGが増えることも分かった。4-VG自体は革製品のような独特の香りだが、時間がたつと甘いバニラ香に変化するため、古酒造りを目的として製造する場合は長時間発酵が有効という。

 平良教授は「従来は酒造所の経験と勘で香りを調整してきた。今回、実際に販売されている黒麹を用いているため、多様な風味の古酒造りへの応用が期待できる」と研究の意義を強調した。真栄田さんは「学部生時代から研究してきたことで一定の成果を出せた。今後も新たな研究を続けていきたい」と意欲を語った。