2018年(平成30年) 6月21日

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祖母に寄り添えず… 安泉さん、介護の孤立と後悔を演出 「死角の箱」那覇で4日まで

 認知症と介護を題材とした演劇「死角の箱」が、沖縄県那覇市松尾のわが街の小劇場で上演されている。俳優で演出家の安泉(やすもと)清貴さん(27)が、認知症の祖母を介護した経験を交えて演出した。安泉さんは祖母に寄り添えなかった後悔を胸に「介護を一人で抱え込まないでほしい」とメッセージを込めている。(社会部・湧田ちひろ)

安泉清貴さん

安泉さんの体験を基に、認知症介護と家族の葛藤を描いた演劇「死角の箱」の一場面=2月27日、那覇市・わが街の小劇場

安泉清貴さん 安泉さんの体験を基に、認知症介護と家族の葛藤を描いた演劇「死角の箱」の一場面=2月27日、那覇市・わが街の小劇場

 演劇は、主人公の男性が認知症の母親を介護する中で、仕事や福祉などさまざまな壁にぶつかり、葛藤する姿を描く。男性は経済的に困窮し、公的支援の網の目からこぼれ、次第に孤立していく。

 安泉さんは高校生のころ認知症を患う祖母と同居した。深夜徘徊(はいかい)や騒音などで眠れずに悩まされ、いら立ったり、暴言を吐いてしまったりもした。祖母が亡くなった後、相手の立場で気持ちを考えられなかったことに後悔したという。

 「僕は祖母に優しくできなかった。皆さんには後悔してほしくないと願い、作品を作った。誰もが通る老いや介護を考えるきっかけにしてほしい」と話す。

 外からは見えない家の中での介護は孤立しやすい状況があると懸念する。「家族や周囲の人、行政に頼ってほしい」と強調した。

 初日に鑑賞した会社員の金城育美さん(34)=豊見城市=は「涙が止まらなかった。明日はわが身に起こることかもしれないと思った」と感想を述べた。

 制作は普天間伊織さん、脚本は新城啓さん。出演は神田青さん、加藤明佳さん、岸本尚泰さんほか。

 27日から上演され、3月4日まで。1日の公演は満席。2~4日の3日間は、午後3時と8時の2回公演。入場料は前売り2千円、当日2500円。

 問い合わせはオフィス・ダッフォ、電話090(4770)0157。

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