「子育てという楽しい時間をありがとう」-。沖縄工業高校(那覇市・小禄健夫校長)は28日、卒業式を翌日に控えた同校3年生に、保護者からわが子への匿名メッセージ集「旅立ちの日に」を贈った。春から親元を離れ、1人暮らしを始めることへの寂しさやエール、成長を喜ぶ声など、保護者105人が飾らない言葉で愛情をつづっている。同校では「匿名にしたことで、いつもは照れくさくて言えない気持ちが素直に書けたのだと思う」としている。(社会部・宮里美紀)

保護者からのメッセージ集「旅立ちの日に」を前生徒会長の新﨑理句さん(右)に手渡す仲本台起PTA副会長=28日、那覇市松川・沖縄工業高校

◆あなたと歩んだ17年 本当に幸せだった

 学年主任の大城正嗣教諭が「親の愛情を生徒に伝えたい」と企画。昨年12月上旬、生徒には内緒で保護者にメッセージの寄稿依頼を郵送。2月中旬まで計105人からメッセージが届き、32ページにまとめた。

 大城教諭は「職場からのファクスや早朝のメールなど、忙しい生活の合間に送られたもの。再送する人もいて子を思う気持ちが伝わる。匿名でも、誰のことを書いているのか、分かる内容も多い」と話す。

 ある保護者は、反抗期を迎えた子どもに「何度『家から出ていけ』と怒鳴ったか。とうとう本当に家を出てくことになりましたね。18年は短かった」と別れを惜しみ「また旅行やドライブに行きましょう。体だけは大事にして」と書いた。

 別の保護者は、家族で走ったマラソン大会、部活の応援などを思い返し「母の青春時代をもう一度、体験させてくれました。あなたと歩んだ17年間は親として本当に幸せだった」と感謝。春から1人暮らしを始める子に、困難にぶつかったら「遠くから見守っている父と母がいることを忘れないでね」と語り掛けた。

 また「スポーツも勉強もできないと諦めがちになり、自分に自信を持てないあなたのことが一番心配だった」と打ち明ける保護者も。自分で進路を決め入学した高校で「たくましく成長しましたね」と喜び、「自分の可能性を信じて!いつもあなたの味方です」と愛情たっぷりに伝えた。

 同校では1日、309人が卒業する。前生徒会長の3年新﨑理句(りく)さん(18)=那覇市=はメッセージ集を夢中でめくり「どの親も子どもを宝物として見てることが伝わってきた。感謝したい」と感激。同校PTAの仲本台起(たいき)副会長もメッセージを送った一人。「もう自分の手元でアドバイスできないもどかしさもあるが、頑張ってほしい」と激励した。