仲井真県政時代に県が発注した識名トンネル建設工事を巡り、国の補助金を不正受給し、返還した際に生じた利息が県の損害となったとして、当時の県幹部らに返還させるよう求めた住民訴訟の控訴審判決が出た。

 福岡高裁那覇支部は、昨年7月の那覇地裁での一審判決を支持し、県側の控訴を棄却した。一審では、当時の県土木建築部長と県南部土木事務所長が不正受給につながる違法契約に関与し、県に損害を与えたと認め、利息分約7千万円を2人に請求するよう県に命じていた。

 県は、職員が個人の利益のために不正をしたわけではないなどとし、控訴していた。だが、判決は一審と同様、契約を違法と認定し、2人に損害分を支払わせるよう県に再び命じた。

 識名トンネルは2010年に開通したが、11年の会計検査院の調査で不適正な経理処理を指摘され、県が12年に補助金全額と利息の約5億8千万円を国に返還した。

 住民側は約7千万円の利息が県の損害で、税金でまかなわれた県予算から支払われるのは納得できないとして、当時の関係者によって補填(ほてん)されるべきだとし訴訟を起こしていた。

 この問題を巡っては、会計検査院だけでなく県監査委員、県議会の調査特別委員会(百条委員会)も、県側の違法行為や不適切な対応を指摘してきた。

 高裁判決に、県は「主張が認められなかったことは残念」とし、対応を今後検討するという。一審と同じ判断が示されたことを、県は重く受け止めなければならない。

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 県幹部らは、既に完了している工事について工期を偽って工事契約を締結するなどしていた。判決は「国民から徴収された税金でまかなわれる補助事業に関し、工期を偽って契約を締結するなどということは許されない」と断じている。

 さらに、虚偽契約をしたことによって、利息の返還命令を受けることは容易に想像できたとし、2人に重大な過失があったと認定した。

 判決が指摘するのは、ごく当たり前のことである。国民の税金が原資の公金を執行する行政側には、大きな権限と責任が伴うことは当然のことだ。虚偽と分かりながら、積極的に問題に加担していたとすれば、公金を扱う者としての倫理観の欠如ははなはだしい。税金を扱っている公務員の職責を再度、深く認識しなければならない。

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 住民訴訟は、自治体や職員の違法な行為や不作為の是正を求めるため、住民側が行政を統制する手段として活用される。主権者として地域に責任を持って行政を監視することに意義がある。

 訴訟になる事態を防ぐ仕組みの構築も大事だ。違法な契約がなされる前に、精査する方法はなかったか。業者を変更する検討もできたはずである。この問題では、事実関係の解明は十分ではない。県は再発防止のためにも解明する責務がある。違法を許さない内部統制の強化に取り組み、公表すべきである。