開園から100年を迎えた東京・吉祥寺の井の頭公園。江戸幕府3代将軍の徳川家光が湧き水の良質さを絶賛し、「井戸の中で一番」という意味で「井の頭」と名づけたとされる

▼先日、公園を訪ねると、由緒ある水をたたえているはずの池が空っぽだった。意表を突かれ、園内を見渡すと「かいぼり」をしているとの説明文を見つけた

▼農閑期にため池の水を抜き、池底を天日干しさせたり、堆積した泥をさらったりして水質改善させる伝統的な維持管理法。外来種の駆除にも有効だ

▼井の頭池は1960年代に湧き水量が減って水が濁り始め、外来魚の持ち込みが横行していく。地域住民が立ち上がり、4年前に初めて「かいぼり」をして今回が3回目。在来種が増え、絶滅したと思われていた水草イノカシラフラスコモが59年ぶりによみがえった

▼小倉城(北九州市)の堀では先月、生態が謎に包まれている絶滅危惧種ニホンウナギが見つかった。何がすんでいるのか、水を抜いてみないと分からない

▼全国各地の池で「かいぼり」をするテレビの特番も人気。回を追うごとに反響を呼び、依頼が殺到しているという。東京都は来年度予算案で2億円を計上し、都立公園の10池で行う方針。好奇心をくすぐり、なおかつ水の再生につながるなら一石二鳥。沖縄の池でもどうだろう。(西江昭吾)