50年前の波照間島の祭祀(さいし)や日常を写したカラー写真計300枚を収めた写真集「HATERUMA1965 re:version 1神事編」「-2風習編」の2冊が11月27日、電子書籍で発刊された。撮影したのはオランダ人の人類学者で故コルネリウス・アウエハントさんと京都府出身の妻静子さん(77)=那覇市。神事だけでなく運動会など島民の生き生きとした表情や御嶽など半世紀前の情景が鮮やかによみがえる。

電子書籍写真集「HATERUMA」の写真を撮影したアウエハント静子さん(右)と発刊した桑村ヒロシさん=沖縄タイムス社

 アウエハント夫妻は1965~66年と75~76年に波照間島に滞在。島の古語を習い、風習を学び、神行事を写真と音声で記録した。研究を主導したのは夫だが、男子禁制の行事もあり、写真を撮影するのは主に静子さん。スライド用にポジフィルムで撮った写真は写真集(2004年、榕樹書林)や日英両語の研究書でも使われたが、印刷コストの都合でモノクロにとどまっていた。

 04年に沖縄に移り住んだ静子さんは約3千点のカラー写真を後世に残したいと奔走。14年に電子出版事業を手掛けるNansei(那覇市)がクラウドファンディングで資金を募り、出版にこぎつけた。「50年前、ツカサ(神女)たちに神さまの判断を伺って頂き初めて撮影が許された写真。後世の継承に役立てたかった」と目を輝かせた。

 編集・制作を担当した写真家の桑村ヒロシさん(47)は「50年たちフィルムが劣化しており、1枚約1時間かけてクリーニングした」と振り返る。膨大な作業には具志川商業高のマルチメディア部も協力した。

 今年7月、静子さんと桑村さんは波照間島の豊年祭を訪れ、50年前に写した場所もあらためて撮影し、写真集に盛り込んだ。波照間郷友会も資金面で支援した。写真集は各1800円。問い合わせはNansei、電話098(867)1300。