政府と企業トップが集まる「官民対話」で、経団連が賃上げや民間投資の増額に言及し、安倍晋三首相の要請に応えた

▼「アベノミクス」の成果が芳しくなく景気が足踏みする中、政府が民間に期待するのは理解できなくもない

▼本来は、経済環境を踏まえ企業が合理的に判断することであり、短期的な成果を狙い政府が介入し続けるのはいかがなものかと懸念も強い。企業や経済の自律的成長にゆがみをもたらさないかと

▼賃上げは新三本の「矢」の一つ「GDP600兆円」に向けた、消費喚起策の一つではある。だが、地方の企業には重荷であろうし、これまで非正規社員を増やす規制緩和を進めた政策に矛盾しないだろうか。企業は賃上げを受け入れる代わりに、非正規化をさらに進め、将来格差を深める結果にならないかも心配である

▼子育て環境の改善、介護離職のゼロも大事な課題ではある。子どもやお年寄りの受け入れ目標を大幅に増やして施設整備の加速をうたうが、保育・介護を担う人の確保に具体策はない。イメージ優先と言われても仕方がない

▼歌人の竹山広さんに漢字を詠んだ歌がある。〈下心、隠し構へという部首のあるを君らは知るか知るまい〉。看板先行の策に隠された下心は何か。目線を先にすえれば見えてこよう。政権が近い将来に得たい成果が。(宮城栄作)