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  • 沖縄本島のサンゴはどこから来たのか? OISTがゲノム解読で新説
  • これまで慶良間が卵の供給源とされてきたがDNAに違いがあった
  • 本島、慶良間、八重山南、八重山北に分類。それぞれで保全必要

 沖縄本島のサンゴはどこから来たのか-。沖縄科学技術大学院大学(OIST)研究グループが琉球列島各地で採集した155個体のコユビミドリイシの超高精度ゲノム(遺伝子情報)解読に成功し10日、本島周辺のサンゴの供給源が、従来考えられていた慶良間諸島のものではない可能性があると発表した。サンゴの卵(幼生)は島々の間でほぼ分散しておらず、慶良間だけでなく沖縄周辺の海域全般で保全に取り組む必要があるとした。

恩納村で産卵するミドリイシサンゴ。従来は海流の影響を受けて広く分散すると考えられていた(沖縄科学技術大学院大学提供)

 県庁で9日、会見した研究グループリーダーの新里宙也研究員(37)=那覇市出身=は、本島のサンゴが失われても慶良間から卵が流れてくる、という従来の考えではいけないとし「目の前のサンゴがなくなれば、回復にとても長い時間がかかる可能性がある。慶良間諸島などサンゴが豊富な場所だけでなく、沖縄の全海域で保護に取り組むべきだ」と提言した。

 従来の定説では、慶良間諸島などから幼生が本島周辺に分散し、1990年代後半の白化現象から回復しつつある本島のサンゴの供給源になっていると考えられていた。このため優先的に慶良間を保護すべきとの見方が強かったが、今回のゲノム分析で、本島のサンゴに明確な供給源はなく、自ら回復していたことが分かった。

 新里研究員らは、ゲノム解読によるDNAの違いから、琉球列島各地のサンゴを(1)沖縄本島(2)慶良間諸島(3)八重山南(4)八重山北-の四つに分類。短期的には互いの行き来はほぼないが、数千年レベルで見れば本島のサンゴは八重山諸島からの影響を強く受けていた。

 一方、慶良間諸島のサンゴは、本島・八重山諸島から加入の痕跡が示唆され、歴史的に見れば遺伝的多様性の高いサンゴの集積地で「サンゴのるつぼ」といえることも分かった。

 2011年、新里研究員らは世界で初めてサンゴ(コユビミドリイシ)の全ゲノム解析に成功、今回はその成果を応用した。研究の一部は県サンゴ礁保全事業のサポートを受けた。研究は10日、ネイチャー・パブリッシング・グループの電子ジャーナル「Scientific Reports」に掲載された。