沖縄県糸満市西崎の炭火焼鳥専門店「かん」の前に、目を引くピンク色の自動販売機がある。店主の泉川寛さん(61)がこのほど、子どもの貧困対策に役立ててほしいと売り上げ全てを寄付するために置いた。本部町山里出身で早くに父を亡くし、祖父母と母、きょうだい8人の家で生活保護を受けて苦学もした。「社会への恩返し。子どもたちが好きなことを学ぶ手助けになれば」と長続きする支援の在り方を探った。(南部報道部・堀川幸太郎)

収益全額を子どもたちのために寄付する自販機と、設置した炭火焼き鳥専門店「かん」の店主、泉川寛さん=糸満市西崎

 自販機にはハートや四つ葉のクローバー、子どもたちが遊ぶ様子を描いた。下に「この自動販売機の売り上げすべてが子育て支援に寄付されます」とある。泉川さんが妻・世津子さん(56)とデザインを考えた。塗装代3万6千円は管理する沖縄ビバレッジと半分ずつ負担し、2017年12月に設置した。

 自販機自体は1999年頃に置き始め、2016年12月~17年11月の収益は6万7千円だった。泉川さんは「幅広い年代が買う。ジュースを飲んで友達を手助けできる。子どもたちの優しい気持ちを育むことにもつながると思う」と話す。お金は業者から糸満市社会福祉協議会に直接振り込む仕組みだ。

 泉川さんは子の貧困対策を巡る新聞記事を読み、支援策を探るために地域の子ども食堂も回った。熱心さの背景には自らの苦学がある。小中高を過ごした故郷・本部町では大家族で生活保護も受けた。幼いころから畑で働き、部活動に打ち込みたくても難しかった。那覇で働きながら夜間大学で学んだ。

 開店24年目で、すっかり糸満にもなじんだ。還暦を過ぎて「もうけは店から出せばいい」と泉川さん。1年目の寄付目標額は10万円で「額が小さくても長続きする手助けだと思う。県内で同様の自販機が増えてくれたら」と願っていた。