【平安名純代・米国特約記者】オバマ前米政権が新たな「核体制の見直し」(NPR)策定に伴い米議会に設置した諮問機関「米国の戦略体制に関する議会委員会」が2009年2月、在米日本大使館関係者らを対象に開いた意見聴取で、秋葉剛男公使(現・外務事務次官)が沖縄への核貯蔵庫建設を容認する意向を示していたことが分かった。1972年の本土復帰以後、日本側が沖縄への核配備を肯定した発言が明らかになったのは初めて。

「沖縄かグアムへの核貯蔵庫の建設」に関する見解を聞かれた秋葉剛男公使(現・外務事務次官)は「そのような提案は説得力がある」と答えたことが記されている(マーカー部分)=米戦略体制委員会の概要メモから

秋葉剛男氏

「沖縄かグアムへの核貯蔵庫の建設」に関する見解を聞かれた秋葉剛男公使(現・外務事務次官)は「そのような提案は説得力がある」と答えたことが記されている(マーカー部分)=米戦略体制委員会の概要メモから 秋葉剛男氏

 米科学者団体「憂慮する科学者同盟(UCS)」のグレゴリー・カラーキー博士が3日、本紙の取材に対して明らかにした。同氏は核問題の専門家で、米政府や元高官との親交が深い。

 同氏が提供した戦略体制委員会スタッフ作成の意見聴取の概要メモ(09年2月27日付)によると、前々日の25日に開かれた意見聴取には、米側からペリー議長(元国防長官)やシュレジンジャー副議長(元国防長官)ら、日本側は在米日本大使館の秋葉公使ら関係者ら3氏が出席。秋葉氏が「米国の拡大抑止に関する日本の見解」を表明した。

 秋葉氏は、米国が日本との事前協議なしに核兵器を削減する可能性に深い懸念を表明し、米国の核戦力の維持を要請。シュレジンジャー副議長の「沖縄かグアムへの核貯蔵庫の建設をどう考えるか」との質問に対し、秋葉氏は「そうした提案は説得力がある」と述べ、沖縄への核再配備の可能性を明確に肯定した。

 沖縄では戦後、アジア太平洋地域で最大規模の1300発もの核兵器が配備されていた。

 佐藤栄作首相とニクソン米大統領は1969年、米国は有事の際に核兵器を再配備する権利を保持し、嘉手納弾薬庫や辺野古弾薬庫などを「何時でも使用できる状態に維持」するとした密約を交わしていた。米国防総省は2015年に公開した記録文書で、「米国は(核)兵器を撤去するが、危機の際にはこれらを再持ち込みする権利を維持している」と明記している。

 日本側関係者からの意見聴取の結果が、2010年4月に公表された「核体制の見直し」にどの程度、反映されたかは明らかになっていない。