2018年(平成30年) 6月21日

大弦小弦

[大弦小弦]地中に埋没する不発弾が、地主の所有物のはずはない…

 地中に埋没する不発弾が、地主の所有物のはずはない。だが大阪市の繁華街ミナミで見つかった不発弾の処理を巡り、大阪地裁は2月、国と市に撤去費の全額負担を求めた地主の訴えを「国にも市にも法的義務はない」と退けた

▼不発弾は大阪空襲で米軍が投下した1トン爆弾。自衛隊による撤去を国が担い、市は交通規制の広報費を出した。一方、地主が自腹を切った土嚢(どのう)の設置や警備員の配置費用など計576万円は戻ってこない

▼実は不発弾処理費を誰が払うべきかを明示した法令はなく、自治体ごとに対応が異なる。それを指摘した上で判決は言う。不発弾処理は「国民が等しく受忍しなければならない戦争損害」と

▼国が戦争被害の補償を拒む根拠とする「受忍論」まで用いて、地主に責任を押しつけるのはあまりにも理不尽だ。敗戦直後、日本が曖昧にした戦争責任の問題が亡霊のように今を生きる

▼不発弾処理にあと70年かかるとされる沖縄はどうか。2012年の改正沖縄振興特別措置法の付則で「国の関与」が明記され、国が9割を補助している。ただ「当分の間」「配慮する」であり、70年後の最後の1発まで責任を持つかの保証はない

▼不発弾処理は国が起こした戦争による問題だとして、国直轄の事業化を求める議論が県議会で進む。この議論、全国にも広がってほしい。(磯野直)

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