公文書改ざんが事実なら、国民の知る権利を著しく傷つけるものだ。

 森友学園への国有地売却を巡って財務省の決裁文書が書き換えられたとされる疑惑で、同省は「文書の原本は大阪地検特捜部にある」「全ての文書は直ちに確認できない」との調査状況を参院予算委員会理事会に報告した。

 さんざん説明を先送りした揚げ句、「ゼロ回答」に近い報告に野党が激しく反発するのは当然だ。自民党からも「資料を出せない理由が理解できない」との声が上がり始めている。

 改ざん疑惑は朝日新聞の報道で浮上した。

 森友側との交渉を担った近畿財務局が作成した決裁文書が、国有地の値引き発覚後に書き換えられて国会議員に提示されたとの疑惑だ。国会議員に示された決裁文書からは、森友側との契約を「特例的な内容」「本件の特殊性」とした文言などが消えていたという。

 特別扱いした部分を隠蔽(いんぺい)したとなると、行政がゆがめられた疑いが深まるが、理事会への報告は、これら疑惑に答える内容ではない。文書が2種類あるかどうかについての回答も避けたままだ。

 国有地を約8億円値引きし売却した取引を巡っては、何らかの力が働いたのではないかとの疑いが今なおくすぶり続けている。

 文書管理の根幹に関わる問題である。事実であれば担当者が刑事罰に問われる可能性もある悪質ケースだ。

 徹底的な真相究明を求めたい。

■    ■

 森友問題では大阪地検特捜部が近畿財務局長らを背任容疑などで捜査している。 

 麻生太郎財務相らは「捜査への影響」を口実に答弁を拒み、今回の報告でも「捜査に影響を与えないよう」が繰り返された。

 確かに刑事訴訟法は裁判の前に事件の証拠を公にすることを禁じている。だがこの規定には「公益上の必要その他の事由で、相当と認められる場合は、この限りではない」とのただし書きがある。

 原本との違いを確認する作業が捜査の妨げになるとは思えない。答弁回避を続ければ、国民への説明責任は果たせない。

 野党側は憲法に基づく国会権限である国政調査権の行使を与党に申し入れている。過去には国会が国政調査権に基づき証拠の提出を求め、秘密会で提示された例もある。与野党一緒になって国政調査権を行使すべきだ。

■    ■

 集団的自衛権行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定に際し、内閣法制局が内部検討の経緯を示した議事録などを公文書として残していなかったことは記憶に新しい。

 南スーダンに派遣された国連平和維持活動部隊、森友学園、加計学園問題でも公文書の隠蔽や破棄が問題となった。

 本来、政策決定に関する文書は国民共有の財産である。公文書は実行された政策が適切であったことを証明する記録でもある。

 公文書を軽んじる空気が安倍政権にあるのではないか。