【ウォード麗奈通信員】琉球古典音楽野村流保存会、琉球古典音楽湛水流保存会師範のロビン・トンプソンさん(65)が故郷イギリスを離れ、沖縄に移住することが決まり、このほど送別演奏会が開かれた。場所は毎週三線会の練習が行われているロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)内。「かぎやで風」で幕を開け、トンプソンさんの琉球古典音楽の歴史などのレクチャーが行われた後、独唱「仲風節」、「恩納節」「辺野喜節」などの合唱曲もいくつか披露された。

演奏中のトンプソンさん=ロンドン大学東洋アフリカ研究学院

琉球古典音楽をレクチャーするトンプソンさん=ロンドン大学東洋アフリカ研究学院

演奏中のトンプソンさん=ロンドン大学東洋アフリカ研究学院 琉球古典音楽をレクチャーするトンプソンさん=ロンドン大学東洋アフリカ研究学院

 共演したのはロンドン沖縄三線会メンバーの杉田千秋さん(東京都出身)。7年間トンプソンさんに師事し、本年度沖縄タイムス伝統芸能選考会「三線の部」で最高賞を受賞。杉田さんは「琉球古典音楽の素晴らしさをこれほど情熱を持って指導してくれたトンプソン師匠に出会えたことに感謝。ロンドン、沖縄と場所は離れても、気持ちを一つにして、これまで以上に稽古に励みたいと思う」と感謝した。

 トンプソンさんはロンドン王立音楽アカデミーでファゴット、作曲、ピアノを修めた後、1975年に日本の伝統音楽の研究のために来日。東京芸術大学大学院音楽研究科を卒業後、82年から琉球古典の研究に取り組んできた。84年から95年、城間徳太郎師匠に師事し、沖縄タイムス伝統芸能選考会の三線、箏曲、胡弓の3部門で最高賞を受賞。その後故郷イギリスに戻った。

 「当時、イギリスでの沖縄の知名度は非常に低かった。その後三線を習いたい人が増え、SOASでロンドン沖縄三線会が結成された。その流れとともに沖縄県人会の活動が活発になり、県の援助で『沖縄民間大使』制度が発足し、イギリスでの沖縄の存在は以前よりも強くなった」と振り返った。

 また「沖縄の伝統音楽や芸能は他府県より強い生命力を持っている。日本関連のイベントでは沖縄がメインになってきている。20年前イギリスに戻ったころ、沖縄が日本を代表することになることは考えられなかった」と語った。

 約10年前には、沖縄タイムス伝統芸能選考会の三線、胡弓でグランプリを受賞し、野村流保存会の師範免許(三線と胡弓)も授与された。

 沖縄に戻ることを決めたトンプソンさん。「最終的には本場で演奏、研究、作曲など音楽活動に携わりたいと思っていた。沖縄文化は日本の一地方の文化だが、それをはるかに超えて、世界で通用する普遍的な価値を持つ文化だと訴えたい」と意気込む。

 沖縄に帰ってから琉球古典音楽に関する理論書の出版を企画している。「琉歌百控」と題する最も古い琉歌集にならって、「琉楽百控」の題で、今までにない古典音楽の楽譜集、概論、各曲の分析という内容で、近いうちに出版予定という。