【東京】放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は8日、東京MXテレビの番組「ニュース女子」で米軍ヘリパッド建設への抗議行動を取り上げた放送は、人権団体「のりこえねっと」共同代表の辛淑玉さんの名誉を毀損(きそん)する人権侵害があったと認めた。考査を含めた放送の在り方を検討し、再発防止に努力するよう勧告した。

「ニュース女子」で米軍ヘリパッド建設への抗議行動を取り上げた放送は名誉毀損(きそん)の人権侵害があったとの勧告を出した坂井委員長=8日、東京都

 対象となったのは2017年1月2日と9日の放送。勧告は、放送内容が辛さんを「過激で犯罪行為を繰り返す基地反対運動を職業的にやってきた人物でその『黒幕』」や「参加者に5万円の日当を出している」と示したが、真実性の証明はなかったと判断。辛さんの社会的評価を低下させるものと結論づけた。

 番組が制作会社の持ち込みで「(辛さんへの)取材がされていないことが明らかにもかかわらず(放送前)考査で問題としなかった」などを挙げ、放送倫理上の問題があると指摘した。

 会見した坂井真委員長は「表現の自由の観点から異なる立場を批判する自由は保障されなければならない。放送局が考査で、批判の根拠となる事実が真実であるか、適切な取材が行われたかを確認しないまま放送することまで許されるものではない」と述べた。

 勧告を受け辛さんは「BPOの決断は放送人の最後の良心の決断だ」と評価。東京MXは「勧告を真摯(しんし)に受け止め、現在進めている再発防止策を着実に実行して信頼される放送の推進に努める」とコメントを出した。

 同番組についてはBPO放送倫理検証委員会も昨年12月に「重大な放送倫理違反があった」との意見を公表した。2委員会で決定が出されるのは2例目という。