北中城村(新垣邦男村長)は7日に開会した村議会3月定例会に、満80歳以上の高齢者に敬老祝い金を年に1度支給することを定めた「敬老年金贈与条例」の廃止を提案した。個人への現金支給の代わりに、デイサービスなど高齢者福祉全体の予算に充当したい考え。一方、議会からは、支給年齢を引き上げるなどして存続を模索すべきだと廃止に慎重な声も出ている。(中部報道部・下地由実子)

 村では、敬老の日がある9月、村内に2年以上住む80歳以上のお年寄りに、1人5千円を口座振り込みで支給している。支出は例年500万円ほど。2017年の対象者は千人以上だった。

 1962年制定の同条例。村福祉課は、廃止の背景に、高齢人口の増加に伴う費用や事務負担の増大を挙げる。人口の多い団塊の世代が75歳以上となる2025年には、村内高齢者は約1・5倍に膨らむ。これまでも3年ごとに策定する高齢者保健福祉計画で見直し議論の対象になっていた祝い金。担当者は「いずれやらないといけない問題」と打ち明ける。新垣村長は地方交付税交付金が減った村の台所事情は苦しいとして「支える若い人たちが少なくなる。理解してほしい」と話す。

 一方、議会からは疑問の声が上がる。村執行部の要望で定例会前の5日に開いた全員協議会では、支給年齢の引き上げや額の段階的な引き下げの検討について質疑が出た。8日の本会議でも「時期尚早」「健康長寿をうたう村に反する」との意見が相次いだ。

 村長に近いある議員は「寝耳に水。楽しみにしているお年寄りもいる。残すための方策を議論した方がいい」と苦い顔。別の議員は「イオンや徳洲会からの税収増を村はいつも強調するのに、経費削減を理由に既存事業をやめるのはおかしい」と話した。廃止の提案は総務厚生常任委員会に審議を付託され、定例会最終日の27日に本会議で採決する見通し。

 県の17年9月のまとめによると、年齢や額にばらつきがあるものの、一定年齢以上の高齢者に敬老祝い金を毎年贈る同様の制度は、県内では町村を中心に少なくとも15自治体で残っている。