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  • 国産車のハッキングを実証した井上氏は防御技術の開発に取り組む
  • ネット接続の生活機器が増える中、サイバー攻撃の危険性も高まる
  • アジアに近い沖縄でセキュリティーの検証事業を興したいという

 広島市立大大学院の井上博之准教授(情報工学)は16日、那覇市の沖縄県立博物館・美術館で開かれているIoTセキュリティウィークin沖縄2015で、スマートフォンを使い、ネット経由で日本車をハッキング(乗っ取り)した国内初の実証事例を報告した。「攻撃方法を基に防御システムを構築できる。防御システムの技術は、運転手の運転技術評価や燃費統計など違う目的にも応用できる」と話した。

生活機器の情報セキュリティーの重要性を説く井上博之准教授=16日、那覇市の県立博物館・美術館

 「損害保険会社などの第三者に安全に提供できるサービスをつくりたい」と展望した。

 IoTセキュリティウィークは、ソフトウエアの保護技術確立に取り組む重要生活機器連携セキュリティ協議会(CCDS)が主催し、15日から3日間の日程で開かれている。

 本年度発足したCCDSはセキュリティー技術の研究に取り組む大学教授や企業の開発担当者で構成した県主催の協議会。CCDSの伊藤公祐事務局長は、家電などの身近にある生活機器のセキュリティー技術確立に取り組むCCDSの取り組みを紹介した。

 「生活機器にもインターネットがつながり便利になる中、安全対策が追い付いていない。沖縄で技術を確立して、家電が安全に動くかといった検証事業にまでつなげたい」と話した。

■沖縄で技術開発する意義は

 広島市立大大学院の井上博之准教授が、国内で初めて国産車のハッキング(乗っ取り)を実証した。家電などの身近にあるさまざまな機器がネットにつながり、利便性が向上する一方、外部から不正に操作されるなどの危険性も高まる。CCDSのIoT脆弱(ぜいじゃく)性ユニットチーフとして、セキュリティー技術の開発に携わる井上准教授に今後の取り組みなどを聞いた(聞き手=政経部・照屋剛志)

 -国産車のハッキングを実証した。

 「どんな機器でもネットにつながれば、外部からの不正アクセスの危険性は出てくる。自動車も同様で、弱点を見つけて、警鐘を鳴らしたかった。ITの進化に対し、生活機器のセキュリティー対策は追い付いてない状況。問題を明らかにするハッキングは重要だ」

 「海外では遠隔操作で車のエンジンをかからなくするなどの被害も出ている。身近な家電を足掛かりに他の家電やシステムを攻撃することもできる。機能に異常はなく、見た目は気付かないが、自分の家電が悪事に利用される可能性もある」

 -情報セキュリティー技術の確立が求められている。

 「ネットにつながる機器はこれからもっと増えてくる。製品を出荷する前に情報セキュリティー面でも安全性を確認する必要が出てくる。沖縄で技術を確立して、製品を検証する事業を興したい」

 「生活機器のセキュリティーは、国際的な基準が明確に定まっていない。技術を確立して、国際的にも信用できる基準も作ることができれば、検証事業の弾みにもなる」

 -沖縄で開発する意義は。

 「中国や韓国などのアジア企業にも検証事業を広げたい。アジアに近い沖縄は地の利がある。海外との大容量の通信回線などITインフラ整備が進み、スマートフォンなどの通信機器の相互接続の検証事業を手掛ける企業も多い。今ある人員や施設を活用できるメリットもある」