これが沖縄振興を担う閣僚の発言なのか。自身の役割を放棄したとしか思えず、担当相としての資質に疑問符を付けざるをえない。

 沖縄の基地問題と振興策の関連性を事実上認める見解を示した、島尻安伊子氏の発言である。

 島尻氏は会見で、新基地建設に反対して政府と裁判で争っている翁長雄志知事の政治姿勢が、沖縄振興に影響があるかを問われ、「全くないとは考えていない」と述べ、来年度の沖縄関係予算に影響する可能性を示唆した。

 基地問題と振興策は「リンクしない」というのが、これまでの政府の見解だ。記者からその整合性を問われると、島尻氏は「リンクはしない」としながらも、「やはり空気感というか、予算確保に全く影響がないというものではないと私自身が感じている」と重ねて示唆した。

 予算編成が大詰めを迎えたこの時期に、「空気感」を理由に、従来の政府見解に反して翁長知事をけん制するのであれば、島尻氏は沖縄担当相でありながら沖縄振興の趣旨をゆがめることになる。極めて問題だ。

 そもそも、沖縄振興は沖縄振興特別措置法に基づくものであり、政府がその必要性を認めている。戦後27年の米軍統治、島しょ地域に伴う経済的不利性、国土面積の0・6%の県土に在日米軍専用施設・区域の74%が集中している-という特殊事情からである。

 沖縄振興の基本を地元選出の島尻氏が正しく認識しているか、甚だ疑問だ。

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 島尻氏のこれまでの発言を振り返ると、新基地建設に突き進む安倍政権の意向に沿った強権的な言葉が目立つ。

 昨年2月の参院予算委員会では「違法な妨害活動を阻止するため、県警や海上保安庁が先んじて対策を取るべきだ」と述べ警備強化を求めた。

 ことし4月の自民党県連大会では、市民の反対運動を「責任のない市民運動」と発言した。

 だが、「責任」が伴っていないのはどちらか。島尻氏は2010年の参院選で「県外移設」を公約としていたにもかかわらず、有権者への説明もないまま辺野古移設に転じた。

 「県外移設」の公約転換を自民の国会議員が党本部から迫られた時期には、「待望の子どもが生まれたら、みんなにお祝いしていただける環境に」と述べ、辺野古容認を「子の誕生」にたとえ転換を期待した。一連の発言からは、沖縄の民意の代弁者としての姿勢は感じられない。

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 今月上旬の訪米時には、シンポジウムで、「20年に及ぶ問題の解決には、普天間を辺野古へ移設する現行計画しかない」と断言した。地元を顧みないその言葉は、国への不信を募らせるだけだ。

 来年度の沖縄関係予算は、概算要求の3429億円に対し、財務省が大幅減額を示唆するなど厳しい状況が伝わっている。沖縄担当相に今、必要なのは、リンク論で県に揺さぶりをかけるのではなく、沖縄振興の原点を再認識し、必要な政策を着実に進められるようにすることである。