ストーブに押しつけられ体に網目状のやけどの跡ができた子、長い間おむつ交換や入浴させられず全身の皮膚がただれた子、栄養失調で尻の脂肪がこそげ落ちた子。以前取材で見た子どもたちの写真。小さな体に刻まれた虐待の痕跡は目を背けたくなる痛ましいものだった

▼県内の児童養護施設や里親家庭で虐待を受けた子どもが2009~16年度の8年間にのべ73人(27件)いたことが本紙が情報公開請求で入手した資料で分かった

▼虐待などの理由で親元で暮らせなくなった子どもたちに安心と安全を保障するはずの場所で虐待が起きていた。二重三重に傷つけられた子どもたちがいたことにやりきれなさが募る

▼父親に暴力を受け、入所した児童養護施設でも職員に殴られた40代の男性は「考える力が次第に奪われていくような感覚だった」と取材に答えた。繰り返される暴力は思考力を奪い、他人も、自分をも信じる力を奪う

▼一方で、心に深い傷を負った子どもたちに寄り添うことの難しさを感じた取材もあった。実親に虐待された子を育てる里親は、暴力的な言動や愛情確認のための「試し行動」に翻弄(ほんろう)された経験を語った

▼子どもたちを守るのは社会の役目だ。今も、虐待に苦しんでいる子がいるかもしれない。私たち大人に何ができるか。知恵を出し合わなければならない。(高崎園子)