拓南製鐵(那覇市、古波津昇社長)は、沖縄市海邦町にある新中城工場の敷地内に同社員や近隣企業で働く従業員、地域の人が活用できる「津波避難タワー」を建設している。海抜が低い同地区で、約300人を収容できる高さ12メートルのタワーを災害時の避難所として使う。同社は「防災意識を持ち続けるきっかけにもなれば」と話す。グループ会社拓南製作所が現在、建設を手掛けており、費用は約6千万円。29日に竣工(しゅんこう)式がある。(中部報道部・赤嶺由紀子)

津波などの災害からの避難場所として、建設中の「津波避難タワー」と専務の八木実さん(左)と大城秀政さん=9日、沖縄市海邦町・拓南製鐵新中城工場内

 建設するタワーは、同社の取引先でもある日鐵住金建材(東京都)の耐震性が高い「セーフガード(SG)タワー」。日鐵住金建材は東日本大震災で仙台製造所が津波による被害を受け、製造所の敷地内の高台に住民らを含めて避難した経験から、同タワーを開発したという。

 拓南製鐵の中城工場は埋め立て地の中城湾港新港地区工業団地内にあり、海抜は約3メートル。同地区での避難訓練では、海抜50メートルの場所まで徒歩で約20分かかるため、より迅速に対応できないかと検討。民間でできることを率先してやろうと自社で建設を決めた。タワーが完成すると屋上避難階の海抜は15メートルになる。

 同社専務で工場長の大城秀政さん(57)は「訓練の参加者も次第に少なくなり、防災意識が薄れる傾向にある。いつ災害が起こるか分からない中、命を助けることを優先しなくてはいけない」と意義を語る。

 同社はおととし、工場近くに建てた社宅も12メートルの高さにして避難場所を確保。今後は工場の管理棟もかさ上げして、対策を取る予定という。

 同社専務の八木実さん(58)は「備えに勝る対策はない。自然災害はいつ起きるか分からない。会社の経営方針でもある『安全第一』を防災にも生かしたい」と話した。タワーを活用した避難訓練や運用ルール作りなど、防災啓発を進める予定だ。