戦中戦後の混乱で義務教育を受けられず、NPO法人「珊瑚舎(さんごしゃ)スコーレ」(那覇市、星野人史代表)の夜間中学で学び直した82歳の國吉キク子さん=同市=が10日、自宅近くの小禄中学校で卒業証書を受け取った。孫ほど年の離れた生徒と式に出席。緊張した面持ちで「涙が出るほどうれしい。一番の宝物です」と証書を大切そうに抱え、喜びをかみしめた。

晴れやかな表情で卒業証書を受け取る國吉キク子さん=10日、那覇市立小禄中学校

 珊瑚舎の夜間中学を修了すると、特例で「中学卒業相当」とみなされ、居住する地域の教育委員会や中学校で卒業証書が授与される。國吉さんは当初、校長室での受け取りを考えていたが、長女の具志智子さん(55)と次女の國吉直子さん(52)に「大勢の拍手を浴びて喜びを味わって」と言葉を掛けられ、卒業生の前で受け取ることを決めた。

 國吉さんは小学2年までしか学校に通えなかった。1944年の10・10空襲から戦火が激しくなり、家族で宮崎県に疎開。終戦1年半ほどして沖縄に引き揚げたが、家も食べる物もなく、病弱の母に代わり家のことをするようになった。

 この日、國吉さんは最後に名前を呼ばれ壇上に上がった。長嶺肇校長から証書が手渡されると、大きな拍手が湧き起こった。珊瑚舎の学友も駆け付け、門出を祝福。智子さんと直子さんは「後ろ姿を見ているだけでじーんときた。感無量」と目を潤ませた。「高校、大学で一生懸命学び、立派な社会人になって」と卒業生にエールを送った國吉さん。「次は習字や洋裁にも挑戦したい」と意欲を見せた。