嵩原弘・宮古島市議が開会中の市議会一般質問で、名護市辺野古の新基地建設に反対する市民らの運動に触れ「辺野古基金からの日当と弁当付きでデモをしている」と発言した。

 事実に反する内容で、辺野古基金や市民団体の代表は憤慨している。

 そもそも基金は沖縄の声を国内外に発信するのが目的で、一部は全国紙などへの意見広告に使われた。個人に支出されるものではない。

 米軍キャンプ・シュワブ前で座り込む市民は、千円のバス賃を払い辺野古行きのチャーターバスに乗り、手弁当で運動を続けている。日当などあるはずがないことは、現地に足を運べばすぐに分かる。

 嵩原市議自身も「日当や弁当の受け渡しは見たことがない。インターネットで情報を得た」と語っている。

 民意を代表する議場の真ん中で、ネット上のデマを事実かどうかも確認せずに発言するとは情けない。速やかに発言を撤回し謝罪すべきだ。

 議員の不適切発言は、沖縄に限ったことではない。

 先月末、兵庫県洲本市議が本紙フェイスブックに、新基地に反対する市民を「けとばせばいい」と書き込み、批判を受けたばかりだ。

 岐阜県議会では今月10日、自民党県連の政調会長も務める県議が「同性愛は異常」とやじを飛ばしている。

 埼玉県川口市議会では、外国人市民の増加を犬の登録数と比較した発言があった(13日付朝日新聞)。

 感情むき出しの差別的な発言が地方自治体の議会で繰り返されている。その裏に潜むのはある共通した空気だ。

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 嵩原市議が情報を得たというネットには、真偽不明の情報や、読んだだけでデマだと分かる書き込み、特定の個人を名指しした罵詈(ばり)雑言、誹謗(ひぼう)中傷の言葉が氾濫している。

 県議会9月定例会で翁長雄志知事が「ネットでは長女が中国の外交官と一緒になり、末娘は中国へ留学していると言われている。二人とも一度も中国に行ったことがない」と発言する場面があった。

 野党議員の「知事は中国と親しいと言われているが、中国から招待されることがあるのか」との質問に対し、ネットで広がるデマを否定したのである。

 民主党の辻元清美衆院議員は公式サイトのかなりのスペースを割いて、自身に関するネット上のデマの一つ一つに反論している。悪質なデマによって真実が曲げられたり、あらぬ対立が生まれるのを危惧してのことだ。

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 議員なら質問する前に、県や市町村当局に確認すれば分かることを、あえて議会で取り上げるのはなぜか。この手の話を拡散させるために、意図的に発言していると疑われても仕方がないだろう。 

 噴出する不適切発言に共通するのは、人権感覚に乏しいことだ。時代の空気を反映したところがある。排外主義につながる危険な動きである。

 選挙で選ばれた議員は、基本的人権を守る役割を果たすべきであって、デマの「拡声器」の役割を担うようでは、健全な民主主義は育たない。