内閣府の2016年度沖縄振興予算の編成作業が大詰めを迎えている。概算要求額は15年度より約90億円増の3429億円としたが、財務省は大幅減額を示唆。厳しい状況で幕開けした予算折衝は、ここにきて自民党の「沖縄族」の活発な動きもあり、挽回の兆しもある。基地問題で政府と対立する県の姿勢とリンクさせずに、「必要額」とする概算要求額をどれだけ確保できるか。最終的には県選出の島尻安伊子沖縄担当相の政治手腕とともに、沖縄振興を国家戦略と位置付ける安倍政権の本気度に懸かっている。(東京報道部・石川亮太、政経部・大城大輔)

自民党の沖縄振興調査会・美ら島議員連盟の合同会議で2016年度沖縄振興予算の現状報告をする島尻安伊子沖縄担当相(左)=18日、自民党本部

 「岩盤にぶち当たる思いで折衝している」

 18日に自民党本部であった会合。内閣府幹部は806億円を要望しているソフト一括交付金の確保が難航している状況をこう表現した。島尻氏も同交付金は「全くめどが立っていない」と危機感をあらわにした。

 島尻氏が目玉施策に据える子どもの貧困対策事業と西普天間住宅地区跡地の利用推進を目的とした交付金も「厳しい状況」。措置のいかんは21日の麻生太郎財務相との大臣折衝まで持ち越されることになった。一方、那覇空港第2滑走路建設事業330億円と沖縄科学技術大学院大学関連177億円は見通しがついたとの好材料も報告された。

■副知事が上京

 「15年度並み、微減でも大臣の手柄だ」

 財務当局のかたくなな姿勢に政府関係者は“勝敗ライン”をこう解説する。予算決定と、その先に待ち受ける宜野湾市長選、参院選を見据えて、評価や責任論のさや当ても熱を帯びる。

 基地問題で政府と対立する翁長雄志知事の政治姿勢が予算編成に「全く影響しないとは思わない」。基地問題と振興策のリンクをうかがわせる島尻氏の問題発言もこうした事情から飛び出した。自民党県連幹部や同党の県関係国会議員らは「予算の大事な時期に知事の姿が見えないのはいかがなものか」と、県側をけん制する。

 一方、県側は自民党側の調整不足や、県議会の日程などで知事が自民党部会に出席できないことが分かると、すかさず安慶田光男副知事が上京。菅義偉官房長官や島尻氏と非公式にそれぞれ会談し予算要請を敢行。県側から距離を置いているわけでないとの姿勢を示し、安定的な振興のための必要額確保を要望した。

■「演出」の見方

 現段階での厳しい状況は、島尻氏が最終局面の折衝で3001億円から巻き返す手腕をみせるための「演出」ではないか-。関係者には、こうした見方もある。

 県のある幹部は「演出でも何でも、振興の観点からすると、必要な予算が確保されることが大事」と結果を重視する。

 島尻氏には県選出の沖縄担当相として県内からの大きな期待もある。さらに言えば、来夏には自身の参院選が待ち受ける。「これで額を落としたら大臣、厳しいでしょ」