2016年度沖縄振興予算は、前年度とほぼ同額の約3350億円で決着した。

 改正沖縄振興特別措置法による沖縄予算は来年度が5年目の中間年に当たる。厳しい財政状況下にあって、必要額がおおむね確保され、子どもの貧困対策へ一歩踏み出したのは明るい材料だ。

 一方、予算編成の過程で、振興策と基地をからめた発言が島尻安伊子沖縄担当相の口から飛び出したのは残念である。発言の反響に驚いたのか、島尻氏は決定後の会見で「基地と振興はリンクしない」と強調した。

 改正沖振法に基づく沖縄予算が新基地建設とリンクするようなことがあってはならない。

 翁長雄志氏が知事に就任した直後の15年度予算は、基地を「踏み絵」に政府の露骨な嫌がらせがあり、5年ぶりの減額となった。

 対立が続く中、16年度予算は最終的に前年度プラス10億円の微増で決着。前知事時代の「概算要求を上回る大盤振る舞い」を振り返れば、影響が全くなかったとはいえない額である。

 16年度予算で特徴的なのは、3月に返還された西普天間住宅地区の跡地利用促進の交付金10億円が初めて計上されたほか、概算要求にはなかった子どもの貧困対策事業に10億円が認められたことだ。

 交付金は佐喜真淳宜野湾市長が要請していたもので、貧困対策は島尻氏が旗を振る政策である。

 来年1月の宜野湾市長選、島尻氏が改選となる夏の参院選を意識した予算であることは間違いない。

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 改正沖振法には、困難を有する青少年への支援が記されている。

 1人当たり県民所得や離婚率、母子世帯の割合、完全失業率、高校・大学進学率など全国ワーストの指標が示す現状を考えれば、振興策で子どもの貧困問題に取り組むのは遅すぎるくらいだ。

 来年度予算に盛り込まれた貧困対策では、スクールソーシャルワーカーの配置、無料や低額の子ども食堂の設置、親の就労支援などを進めていく。  

 県内では既に民間による子ども食堂、困窮世帯の子どもを対象にした学習塾などの取り組みが広がっている。

 県も子どもの貧困対策を重要課題に位置付け、来年度から独自の計画をスタートさせる。

 より現場に近い民間の声に耳を傾け、県との連携も密にし、生まれ育った環境に左右されない社会の実現に力を入れてほしい。

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 復帰後、本土との格差を是正しようと始まった沖縄振興計画の中心は、社会資本の整備と産業振興だった。

 子どもへの視点が乏しかった過去の計画を振り返り、貧困対策を振興のテーマにとの声は強まっている。 

 沖縄の貧困の根をたどると、沖縄戦による荒廃と米軍統治下における法制度の不備に行き着く。

 島尻氏には、一時的な対応にとどまらない取り組みと、支援の枠組みづくりを求めたい。