公文書を隠そうとしただけでなく、都合のいいように改ざんしていた。議会制民主主義の土台を破壊する行為だ。

 森友学園への国有地売却に関し、財務省が14件の決裁文書の書き換えを認めた。書き換えられた時期が、国有地の大幅値引きという不可解な取引が発覚した昨年2月以降だったことも明らかになった。

 当初の文書にあった「学園の提案に応じて鑑定評価を行い、価格提示を行うこととした」「本件の特殊性」「特例的な内容」などの文言が、国会議員に示された文書から消えていたのは、財務省が学園を「特別扱い」していた証拠である。学園側が「神風が吹いた」と話していたのは、このことなのだろう。

 削除された部分には、安倍晋三首相の妻、昭恵氏の名前もあった。昭恵氏から「いい土地ですから前に進めてください」との言葉をいただいたと学園側が発言した部分も消されている。

 学園が計画していた小学校の名誉校長だった昭恵氏の存在が特別扱いにつながったとの疑惑を打ち消すためとみられても仕方がない。

 麻生太郎財務相は書き換えについて、理財局長として国会対応を主導した佐川宣寿前国税庁長官の国会答弁との整合性を図るためだったと説明したが、問題は公文書管理をゆがめ、国民を欺いてきたことにある。

 文書改ざんの背景に政権に対する忖度(そんたく)があったのではないか、不信感がますます募っている。安倍政権の責任は極めて重い。

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 官僚が官邸の意向を先回りして推し量る「忖度政治」が言われるようになったのは、安倍首相が内閣人事局を発足させた2014年以降だ。

 官邸は中央省庁の審議官級以上の幹部人事を一手に握り、「安倍1強体制」を強めてきた。

 加計学園の獣医学部新設を巡っても、「総理の意向」と書かれた文書の存在が明らかになるなど、忖度が指摘された。

 公務員は「全体の奉仕者」として公平、公正さが求められる。にもかかわらず安倍1強体制の下、公務員が「安倍政権の奉仕者」になっていないか。

 財務省の文書改ざんは、その表れであり、国民への裏切り行為である。

 時の政権や官僚の都合で公文書が書き換えられたり、廃棄されたりしては、民主主義そのものが成り立たない。

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 国会に提出する文書が改ざんされるという前代未聞の不祥事が起こった以上、財務省トップの麻生氏が政治責任を自覚せず、職にとどまるようなことは許されない。

 「責任を痛感している」と反省を口にした安倍首相も、口先だけでなく責任を行動に移す必要がある。自民党総裁として最低限、野党が求める国政調査権の行使を党に指示し、佐川氏と昭恵氏の証人喚問を速やかに実施するよう働きかけるべきだ。

 官邸や麻生氏の中には責任を財務省に押し付け、逃げ切ろうとする姿勢が感じられるが、認識があまりにも甘すぎる。そんな状況ではない。