【与那原】町与那原で吉田正弘さん(66)が営む「ヘアーサロンヨシダ」が、年内で店を閉じる。同地域で開業して45年。かねてから「65歳ごろを区切りと思っていた」という。「もう十分にお客さんとのコミュニケーションを楽しんだ」と悔いはなく、最後の年の「正月だんぱち(散髪)」の客を待つ。(天久仁)

「なじみのお客さんとのコミュニケーションを十分に楽しんだ」と45年間を振り返る吉田正弘さん=16日、与那原町与那原

 旧知念村出身の吉田さんが与那原町の国道331号沿線で店を始めたのは復帰前の1970年で、弱冠21歳だった。知念中学校卒業後は約5年間、静岡県のマグロ問屋で働いていたが一念発起、「勇気はひとつ、腕に技を付けて沖縄で頑張ろう」と帰郷し、20歳で那覇の高等理容学校に入って資格を取った。

 その後は妻の照子さん(63)と二人三脚で、2人の子どもを育てながら店を切り盛りした。仕事は週1度の休みを除いて朝9時から午後8時まで。「せめて夕飯は家族でテーブルを囲みたい」と願ったが、店が長引いた場合は吉田さん1人だけ後で食べる「家のルール」もあったという。

 低料金の店の進出が客足に影響したこともあったが、吉田さんは「顔なじみの客とおしゃべりをしながらサービスを尽くすのが自分の仕事」との考えを貫いた。大みそかは客が絶えず、午後11時45分まで店に立ったこともある。  照子さんは「長い間お疲れ様。しばらくゆっくりしてもいいんじゃない」と感慨深げ。一方で「さびしいけれど、散髪は家でもできるさ」と吉田さん。4人の孫には「これからもおじいが髪切ってあげるよ」と約束している。