県は来年度、商工労働部内にアジア経済戦略課を新設する。翁長雄志知事の経済政策の柱となる県アジア経済戦略構想を具体化することに特化した課である。

 戦略構想は成長著しいアジア経済のダイナミズムを取り込み、沖縄経済の自立につなげようと、9月に策定された。

 国際競争力ある物流拠点の形成や世界水準の観光リゾート地の実現、航空関連産業クラスターの形成-など五つの重点戦略を掲げる。短期、中期、長期に分け、40以上の新規施策を盛り込んでいる。

 先行しているのが物流拠点の形成だ。那覇空港の国際貨物取扱量は好調だ。全日空が24時間体制の国際貨物ハブとして、国内4空港、アジアの8空港を結んでいる。

 県によると、2014年の那覇空港の国際貨物取扱量は約18万5千トンで、国際貨物ハブが始まる前の08年と比べ、約100倍に伸びている。成田、関西、羽田に次いで全国4位の取扱量になっている。

 海路も、琉球海運と商船三井が連携して、本土と沖縄の産品を台湾経由で世界に運ぶルートを開拓している。

 アジア開発銀行は、世界のGDPに占めるアジアの比率は13年の29%から50年には52%に増大すると予測している。世界のGDPの大半をアジアが占めることになり、「アジアの世紀」が到来するとみている。

 沖縄から4時間以内の圏内にアジアの人口20億人の巨大マーケットが広がる。沖縄が再び「万国津梁」となる環境が整いつつあるのである。

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 国際貨物ハブがどれだけ沖縄の経済効果や雇用をもたらしているのだろうか。琉球大などの経済学者グループが7月に公表した「アジアへの輸送玄関 那覇ハブ空港の可能性」と題する論文がある。

 10年に絞って調べた結果、国際貨物ハブの運輸サービスが沖縄にもたらす経済効果は総計で84・1億円、県内総生産の0・22%にすぎない。

 県経済への波及効果を高めるには国際物流機能を活用した臨空・臨港型産業の集積を図るとともに、県内事業者の海外展開や輸出拡大策を練らなければならない。

 那覇空港の最大の強みはアジアに近いことによるスピード感である。生鮮食品を中心とした食料品の需要が増えている。沖縄県産品も右肩上がりに増えているが、県内総生産へのインパクトはごく小さいという。論文は、輸出国が香港などに限定され、ハブのネットワークが十分に活用されておらず、バイヤーとサプライヤーのマッチングも不十分だと課題を指摘している。

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 沖縄21世紀ビジョン基本計画には「アジアと日本の架け橋となる国際物流拠点の形成」などがうたわれている。県アジア経済戦略構想はそれを補完、促進するものだ。戦略構想で提言している諸施策の進(しん)捗(ちょく)状況をチェックする外部組織の設立は必要だ。

 10年計画の21世紀ビジョン基本計画は来年度、中間点に差し掛かる。戦略構想が提示する諸施策に優先順位を付け一つ一つ実行に移すことができれば、沖縄の自立型経済につながる可能性が広がる。