肺炎は日本における死因の3番目であり、対策が重要な病気です。肺炎を発症する方の多くが65歳以上であることから、特に高齢者では肺炎を予防することが重要になります。日頃の体調管理が最も重要ですが、最近はワクチンによる肺炎発症予防が注目されています。

 肺炎はさまざまな病原体により発症することが知られており、その中でも最も重要な病原体が肺炎球菌です。成人の肺炎の3割~4割は肺炎球菌によるものであり、肺炎球菌による肺炎は時に重症化します。この肺炎球菌は小児の鼻や喉に定着することが多く、大人でも一時的に上気道に定着します。

 肺炎球菌が定着しても必ずしも肺炎を発症するわけではないのですが、風邪やインフルエンザで身体が弱っている時や誤嚥(ごえん)をしてしまった時に、肺炎や全身感染症を引き起こすことがあります。

 肺炎球菌に対する免疫は主に菌の表面にある莢膜(きょうまく)に対する抗体が担っています。抗体はリンパ球が産生するたんぱくの一種で病原体に特異的に結合し、病原体を身体から効率的に除去する働きを有しています。

 肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌に対する抗体を誘導し、感染症への抵抗力を高める目的に開発されました。日本では小児と高齢者の定期接種として指定されています。

 肺炎球菌ワクチンには複数の種類があり、ワクチン対象者によって定期接種に用いられるワクチンが異なります。

 小児では、免疫がしっかりと強く得られるように調整されたワクチン(コンジュゲートワクチン)が用いられています。2011年の肺炎球菌ワクチンの導入により、肺炎球菌による髄膜炎の発症が73%減少しました。

 一方、高齢者に対する定期接種では、幅広く免疫が得られるように多種類(23種類)の抗原を含んだワクチンが主に用いられています。高齢者に対する肺炎球菌ワクチンによって、肺炎球菌による肺炎の発症を減少させる効果が報告されています。

 高齢者を対象とした肺炎球菌ワクチンの定期接種は14年10月から開始されました。

 15年度から18年度までは、該当する年度に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳となる方と、60歳から65歳未満で、日常生活に支障をもたらす心臓、腎臓、呼吸器、免疫系の障害を有する方が対象となっています。肺炎球菌ワクチンの接種について、かかりつけの先生に相談して頂くことをお勧めします。(比嘉太 国立病院機構沖縄病院)