沖縄タイムス社は2015年の県内十大ニュースを選定した。沖縄戦後70年を迎えたことし、米軍普天間飛行場の返還に伴う名護市辺野古の新基地建設問題で大揺れの1年となった。政府と知事の対立が激化して法廷闘争に持ち込まれ、辺野古の現場では強圧的な警備で反対する市民らにけが人が続出した。6月には自民党国会議員らの勉強会での報道圧力発言が大きな問題に。台風21号が猛威をふるい与那国で最大瞬間風速81.1メートルを記録、生活インフラに大きな被害が出た。主要産業の観光は外国人客が大幅に増えるなど引き続き好調。ボクシングの具志堅用高さんや沖縄の伝統芸能が高く評価された。

辺野古への新基地反対を訴え沖縄セルラースタジアム那覇に3万5千人(主催者発表)が参加して開かれた県民大会=5月17日

暗い壕の中で親族の写真に向かって焼香する子ども=6月23日、糸満市摩文仁・沖縄師範健児之塔

「文化芸術懇話会」の初会合で講演する作家の百田尚樹氏(右)=6月25日、自民党本部

那覇港にクルーズ船3隻が同時入港。総勢約7500人の外国人観光客が下船した=7月28日

台風15号の強風によって横転し大破したレンタカー=8月24日、石垣市新川

伊良部大橋の開通式で夫婦3代を先頭に渡り初めを行う関係者ら=1月31日、宮古島市平良久貝

国際ボクシング殿堂入りし、沿道の声援に応えながらパレードする元世界ジュニアフライ(現ライトフライ)級王者の具志堅用高さん=6月14日、米ニューヨーク州カナストータ

(左上から)佐辺良和さん、佐藤太圭子さん、新城栄徳さん(左下から)大城政子さん、照屋勝義さん

うるま市の伊計沖で艦船に着艦しようとして失敗した米軍ヘリコプター=8月12日(共同通信社ヘリから)

北中城村の米軍泡瀬ゴルフ場跡地に開業したイオンモール沖縄ライカム=7月2日(本社チャーターヘリから)

辺野古への新基地反対を訴え沖縄セルラースタジアム那覇に3万5千人(主催者発表)が参加して開かれた県民大会=5月17日 暗い壕の中で親族の写真に向かって焼香する子ども=6月23日、糸満市摩文仁・沖縄師範健児之塔 「文化芸術懇話会」の初会合で講演する作家の百田尚樹氏(右)=6月25日、自民党本部 那覇港にクルーズ船3隻が同時入港。総勢約7500人の外国人観光客が下船した=7月28日 台風15号の強風によって横転し大破したレンタカー=8月24日、石垣市新川 伊良部大橋の開通式で夫婦3代を先頭に渡り初めを行う関係者ら=1月31日、宮古島市平良久貝 国際ボクシング殿堂入りし、沿道の声援に応えながらパレードする元世界ジュニアフライ(現ライトフライ)級王者の具志堅用高さん=6月14日、米ニューヨーク州カナストータ (左上から)佐辺良和さん、佐藤太圭子さん、新城栄徳さん(左下から)大城政子さん、照屋勝義さん うるま市の伊計沖で艦船に着艦しようとして失敗した米軍ヘリコプター=8月12日(共同通信社ヘリから) 北中城村の米軍泡瀬ゴルフ場跡地に開業したイオンモール沖縄ライカム=7月2日(本社チャーターヘリから)

<1>辺野古 法廷闘争に突入

 翁長雄志知事は「名護市辺野古での新基地建設阻止」の実現に向け、知事権限や法的手段を次々に繰り出した。政府はこれに対抗し、知事の指示を無効にしたり知事を提訴したりするなど攻防が激化。11月には異例の法廷闘争に突入した。

 知事が最初に動いたのは3月。沖縄防衛局が辺野古海域に投下した大型ブロックが、県が許可した区域外でサンゴを傷つけている可能性が高いとして、すべての作業を停止するよう防衛局に指示した。

 5月は3万人以上が参加した新基地建設反対の県民大会に出席し、翌6月に訪米。米政府関係者やシンクタンクなどに新基地建設の再考を求めた。

 8月から菅義偉官房長官と5回の集中協議を重ねたが、決裂。直後の9月に訪欧し、スイス・ジュネーブの国連人権理事会で演説。沖縄の基地負担の理不尽さを国際社会に訴えた。10月には前知事による埋め立て承認の取り消しという「伝家の宝刀」を抜いた。

 一方の政府は知事の処分を違法として、知事に代わって埋め立て承認するための代執行訴訟を提起。知事は今月2日に法廷で陳述し、新基地建設に反対する県民感情の強さを訴えた。

<2>戦後70年  不戦誓う

 太平洋戦争が終わってからことしで70年がたった。県内でも各地で関連行事が催され、沖縄戦の甚大な犠牲を悼み、不戦の誓いを新たにした。戦没者の名を残す糸満市の「平和の礎」は大田県政時代の建立から20年を迎え、刻銘者総数は24万1336人になった。

 戦時の記憶をとどめる体験者は80歳をまたぎ、年々減少。ひめゆり平和祈念資料館内では元学徒らによる体験講話が3月、86歳以上という証言員の高齢化のため終了した。

 戦後生まれが人口の9割に近づく中、官民や教育現場などでは体験者の証言収集や戦跡活用、若いガイドの育成など、次世代継承の試行錯誤が続いている。

<3>百田氏発言・報道圧力

 作家の百田尚樹氏が6月25日、自民党本部であった勉強会で講演し、米軍普天間飛行場の成り立ちを「もともと田んぼの中にあり、周りは何もなかった」などと誤認識に基づく持論を展開した。さらに沖縄タイムスと琉球新報を「つぶさないといけない」と語った。

 勉強会には安倍晋三首相に近い自民党の若手国会議員ら約40人が参加。議員からは、安保法案を批判する報道に関し「マスコミをこらしめるには広告料収入をなくせばいい」などとの声も上がり、県外メディアも言論、表現の自由を弾圧する動きとして批判した。

<4>急増する外国人観光客  

 2015年の入域観光客数は、11月までの累計で714万9400人となり、過去最高だった昨年1年間の実績705万8300人を上回り、3年連続で過去最高を更新した。

 外国人観光客は初めて100万人を突破。台湾や韓国、中国の天津や杭州を結ぶ定期航空便就航や既存路線の増便などが相次いだほか、クルーズ船は寄港数が前年比約1.5倍の247回に増えたことなどを背景に外国客が急増した。

 那覇市の国際通りでは外国客の「爆買い」を狙い、ドラッグストアが相次いで開店。わずか1.6キロに9店舗が密集する激戦区には、連日、多くの外国客が訪れている。

<5>八重山で甚大な台風被害 最大瞬間風速81・1m

 5度の台風接近に見舞われた八重山地方では、与那国町と石垣市で過去最大級の最大瞬間風速を記録。大きなけが人は出なかったが家屋倒壊など甚大な被害に見舞われた。

 9月28日、与那国町に接近した台風21号では国内歴代5番目の最大瞬間風速81・1メートルを記録。全壊5世帯、半壊24世帯の被害が出たほか、生活インフラも軒並み破壊された。県は災害救助法の適用を決め、現在も復旧作業が続いている。

 8月24日には台風15号の接近で、石垣市登野城で71・0メートルの暴風が吹き、9人が重軽傷を負った。

<6>伊良部大橋 待望の開通 

 「離島苦」の解消のため、伊良部島と宮古島を結ぶ全長3540メートルの伊良部大橋が1月31日開通した。最初の要請から40年余り。通行無料の橋で国内最長を誇る大橋は内外の注目を集め、宮古島市が初めて伊良部観光の総合計画策定に着手するなど大橋を活用した「島興し」が始まった。

 同市などはトライアスロンのコースに組み込むなど積極的に大橋をPR。10月3日の「カギマナフラ」では世界最多の人数で同時にフラダンスを踊り、ギネス世界記録を更新。市制施行10周年に花を添え、地元は盛り上がった。

<7>具志堅用高さん ボクシング殿堂入り

 プロボクシング元世界ジュニアフライ(現ライトフライ)級王者で、13連続王座防衛の日本記録を持つ具志堅用高さん=石垣市出身=が国際ボクシング殿堂入りし、6月14日(現地時間)、米国での式典に出席した。式典前にオープンカーでニューヨークをパレードし、式での英語を交えたスピーチでは「この素晴らしい一日を忘れない。殿堂入りの仲間入りを果たせて大変うれしい」と感慨に浸った。

 具志堅さんは沖縄出身初の世界王者。石垣市に住む姉の宮里圭子さんは「山あり谷ありの人生だったけど、報われたね」とたたえた。

<8>伝統芸能受賞ラッシュ

 沖縄の伝統芸能界で全国レベルの受賞が相次いだ。

 琉球舞踊世舞会師範の佐辺良和さん(35)は、伝統芸能分野で将来が期待されるアーティストを顕彰する「第19回日本伝統文化振興財団賞」。琉球舞踊太圭流家元の佐藤太圭子さん(71)は「第35回伝統文化ポーラ賞」の優秀賞となった。

 沖縄芝居の舞台美術を担う新城栄徳さん(77)は「第21回ニッセイ・バックステージ賞」に選ばれた。

 大城流寿乃会宗家の大城政子さん(86)と県指定無形文化財「沖縄伝統音楽野村流」保存会会長の照屋勝義さん(84)は文化庁長官表彰を受けた。

<9>米軍ヘリ 伊計沖で墜落

 米陸軍所属のH60ヘリが8月12日午後1時45分ごろ、うるま市伊計島の南東約14キロ沖で、米海軍輸送艦「レッド・クラウド」への着艦に失敗し、墜落した。機体は尾翼部分が折れ、乗員7人が重軽傷を負った。

 ヘリには「研修」名目で、陸上自衛隊の中央即応集団の「特殊作戦群」に所属する2等陸曹2人が同乗。事実上の「共同作戦」が明らかになり、部隊運用の日米一体化が進む実情が浮き彫りになった。

 翁長雄志知事は事故について「そこに住んでる人間からするととても耐えられない」と不快感を示した。

<10>イオンライカム開業

 県内最大の売り場面積を持つイオンモール沖縄ライカムが4月25日、北中城村で開業した。県内初進出の専門店など235専門店が入居。同社によると開店前には1万1千人が列をつくり、初日は11万人が訪れた。

 2010年に返還された米軍泡瀬ゴルフ場跡地で開発された。エンターテインメントも充実させ、地元客と国内外の観光客の集客に取り組む。年間の集客目標は約1200万人で、開業半年で約750万人が来店した。周辺地域は、中部徳洲会病院の新築移転なども進む。新たなまちづくりや、中部地域への集客も期待されている。

<次点>ドラフト指名 最多の7人

 10月22日のプロ野球ドラフト会議で、県関係選手は過去最多の7人が指名された。全員が入団する。最速152キロ右腕の多和田真三郎投手(富士大)が西武、190センチ左腕の上原健太投手(明大)が日本ハムにそれぞれ1位指名された。

 普天間高の與那原大(ひろ)剛(たか)投手は巨人が、立教大の大城滉二内野手はオリックスがそれぞれ3位指名した。北谷町出身の左腕、日(ひ)隈(ぐま)ジュリアス投手(高知中央高)はヤクルト4位、両親が沖縄出身でブラジル生まれの仲尾次オスカル正樹投手は広島6位、具志川高出身の國場翼投手(第一工業大)は西武が8位指名した。