【冒頭発言】

抗告訴訟に踏み切った経緯などについて説明する翁長雄志知事=25日午後、県庁

 本日は、国地方係争処理委員会の決定および国土交通大臣が行った執行停止決定に対する抗告訴訟の提起について私から報告を申し上げる。

 第1に、昨日、国地方係争処理委員会の審査会合が開かれ、県が去る11月2日に行った審査申し出は同委員会の審査対象ではないとして、申し出を却下するとの決定がなされた。

 同委員会が3度にわたり会合を開き、長時間にわたり検討を重ねられたことについては一定の評価をするが、結果として執行停止決定の違法性についての実質的な審査が一切行われることなく却下の判断が示された。この判断は、地方自治法に規定する関与制度および国地方係争処理委員会の存在意義を自ら否定しかねないものと考えており、誠に遺憾である。

 第2に、去る18日に県議会の議決をいただいた「国土交通大臣による公有水面埋立承認取消処分の執行停止決定の取り消しを求める訴えの提起」について、本日、那覇地方裁判所に訴えを提起するとともに、執行停止決定の執行停止を求める申し立てを行った。

 本件の訴えは、国土交通大臣による執行停止決定の効力を失わせることにより、沖縄防衛局が行う埋め立て工事を止める上で有効な方法だと考えている。

 以前から繰り返し申し上げているように、行政不服審査法は、国や地方公共団体の処分等から国民の権利利益の迅速な救済を図ることを目的としている。

 国の一行政機関である沖縄防衛局が、自らを一般国民と同じ「私人」であると主張して審査請求を行うことは、同法の趣旨にもとる違法なものである。この点については、約100人もの行政法研究者からも批判の声が上がっている。

 また、「辺野古が唯一」という政府の方針が明確にされている中で、同じ内閣の一員である国土交通大臣に対して中立・公正な判断は期待し得えず、この点からも、本件審査請求手続きにおける執行停止は違法である。

 県としては、これから裁判所に対して、その旨主張・立証していく。私は、今後ともあらゆる手法を用いて、辺野古に新基地は造らせないとの公約実現に向け、不退転の決意で取り組んでいく。県民の皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げる。

【一問一答】

 -抗告訴訟の訴えは工事を止める有効な方法と示している。執行停止を止める緊急性は何が一番重要か。

 知事 代執行の裁判が開始しているが、ある意味で埋め立ての手続きが本来なら代執行で結論が出てからしか工事ができないが、今回は行政不服審査法に基づいて、まず工事ができるようにして、どういう経緯をたどるか分からないが、いずれにしても工事を進めるという国のダブルスタンダードと言うか、二重のやり方がある。そのために工事を止めるということが一番重要なので、その意味での抗告訴訟の意味合いが入っている。政治的な意味合いでお話をしている。

 -特に強調したい緊急性、重要な部分は何か。

 知事 先ほど申し上げたとおり、工事の差し止めね、これをしっかりとやらなければならない。執行停止の執行停止は、これが一番有効であるということでさせてもらっている。

 -12月に入ってから代執行裁判での意見陳述、政府の予算案決定、係争委の却下と続いている。このタイミングで抗告訴訟を起こす意味合いは。

 知事 特に政治的なタイミングというわけではなく、記者会見でも申し上げてきた通り、議会の議決を得た後は、速やかにそれを実行させていただくというふうに話をさせていただいた。速やかにというのは法律的な問題、いろいろと訴状を作るなどあるので、そういった準備が整うことを弁護士の先生ともご相談し、時期的に可能であれば速やかにと申し上げたわけだが、昨日、一昨日から大丈夫だという報告を受けたので、私からすれば速やかにということで今日の日を設定させていただいた。

 -係争委の却下の翌日になった意味合いは。

 知事 時期的な意味では全くの偶然。昨日、長時間にわたって議論がなされたようで、小早川委員長の記者会見も読ませていただいたが、7時間に及ぶ議論もあって、もう一回開催したらどうかというマスコミからの質問もあった中で、平行線というようなニュアンスで、今日で終わり、というような話もうかがうことを感じた。地方自治という問題について、ある意味で、10年、20年前とは違う感覚を持って、考え方を持って議論がなされたことは大きいと思いつつも、結果的には遺憾なことになった。

 そういった形で申し出を却下された翌日に抗告訴訟ということで訴えを提起したわけだが、偶然ではあるが、その意味で不退転の決意であらゆる手法をもって、新辺野古基地を造らせないというような意味合いからすれば、途切れないでこういった問題を沖縄県民、全国の皆さまに沖縄県の決意を示したということは大きなことではないかと思っている。

 -国と県が訴え合う異例の事態になったことをどう思うか。

 知事 まあ、この話をすると本当は長くなるので、1、2分で話をすると誤解を招くのではないかと思うが、いずれにせよ辺野古が唯一と言っているところに一番大きな問題があろうかというふうに思っている。沖縄の置かれている戦後の基地の歴史、沖縄全体の歴史を含めて私たちが今ある現状について、もう一つ勘弁してくださいよ、というような話をするわけだが、それをこういう裁判で強権的に進めている。

 私は戦後のあのサンフランシスコ講和条約で切り離された時の米軍による土地の強制接収は大変理不尽なことだったが、まさしく今この70年を経て、今度は米軍ではなく日本政府が、銃剣とブルドーザーではないが、そのような強権的な形で海上の強制接収というような形に感じられるわけで、その意味でこのように二重、三重に裁判になることは非常に残念だが、私は沖縄県の将来、特に子どもや孫の安全安心を守りながら、日本の安全保障体制を品格があるようなものにしてもらいたい、という沖縄からの切実な願いを話をするわけで、その意味では日本国民全体で日本の安全保障を考えてもらいたいと言っている中での裁判が二重三重になっているというふうに思う。

 -どれくらいで執行停止の申し立てへの判断が出ると考えているか。

 竹下弁護士 本来、執行停止は緊急を要するべきものなので、早く出すというのが前提だと思うが、今回すでに始まっている国の執行停止によって国の工事が始まってしまっている、それを止めるものなので普通の執行停止とは違う要素がないわけではない。

 非常に大きな論点を含む訴訟なので、私どもとしても、従来の執行停止の手続きと同じようなものでいいのかどうかということもあるので、少し通常の執行停止の速さとは若干違うことになるかもしれないと今考えている。

 -めどは今のところ考えていないか。

 竹下弁護士 最後は裁判所がどういう風に進めるかに関わってくるわけだが、例えば執行停止でも口頭弁論の手続きを行うのか行わないのかという議論も当然あるでしょうから、それによって進み方は異なってくると思うし、仮に口頭弁論が必要なような重要な執行停止の問題であるということであれば若干長くなるかも分からないし、進め方によって違ってくると思う。

 -係争委が県の申し出を審査対象外としたことについて訴訟を起こす考えは。

 知事 これから弁護士の先生方と相談してやっていくので、その件はどうでしょう。どなたかお答えお願いする。

 竹下弁護士 最終的には弁護団と県と協議した上で、どうするか決めたいと思うが、現段階では小早川委員長のブリーフィングしか見ていないので、正式に書面で通知が来て、書面をきちんと検討した上で弁護団としてどういう意見を出すか決めたい。現段階で訴訟を提起するとかしないか、どちらか固まったものでいるのではない。

 -係争委は多数決で結論を出した。あらためてどう考えたか。

 知事 ごく普通には却下されるのではないかという話をする方が多くて、県の主張も正しいということで申し出をしたが、その中での議論が3回を数えたということと、3回目で7時間におよぶ、私も5時くらいから待機していたが、さすがに翌日の日程と絡み合わせると、5時間くらい待機する形になったが、7時間も議論してなおかつ多数決になったのは、地方自治法の20年以前と20年以内、いろんな経緯を経て意味合いがご理解いただけた。

 行政法の関係者の専門家が100人ほど同じ考え方をもっている人もいる。その中で委員の中に強くそれを主張するといったことは、結果の中ではひとつ将来を見通せるものが出てきているのかなと思う。残念ながら多数決でそういう結果になったので、その点については大変遺憾に思っているが、一人二人、意見を強くおっしゃった方がいるのは大変敬意を表したいと思っている。

 -抗告訴訟は移設を止める手段となることの重みと、勝算をどう考えるか。

 知事 あらゆる手法を尽くして新辺野古基地は造らせないという意味では、可能性のあるものは全部やっていくということに抗告訴訟の提起をした。その件について、裁判はどちらも勝算を持ってやるでしょうし、法律的な意味合いからすると弁護士の先生にお願いしたいが。個人的な思いで留める勝算は、当然沖縄県の主張していることは正当な主張、権利だと思っているので必ずご理解いただけると思っている。

 -今後移設を止めるための手段は、どういうことを考えているか。

 知事 これは総合力。法廷もあるだろうし、いろんな集会とか、いろいろなものの重なり合いで多くの国民にも理解してもらい、ことし国連にも行ったが世界的な視野で日米安保体制、どういう形でそれが維持されているか日本本土の方にも日米安保体制の品格、日本の民主主義、地方自治、そういったものを裁判を通じて多くの方々に注目してもらい、ご理解いただくのをこの1年間振り返っても相当の日本国民全体の理解と海外への浸透もあったと思うので、継続していく裁判の法廷闘争は裁判のあるべき結論も大切だが、それをやることによって多くの国民や県民がこのことについて理解して頂く、それを共有して頂く中に、この問題は必ず私たちの思いと一緒になって解決していくものだと思っている。

 -複数の裁判が並行することが来年の宜野湾市長選など重要選挙にどう影響すると考えるか。

 知事 裁判が選挙が一緒になることはどうなんでしょうか。それと絡めて考えたことはないので、どういう影響を及ぼすとかそういうことは私の頭の中にはない。裁判は裁判として、選挙は選挙として。それ以外のもろもろはそれ以外のもろもろ、この集大成が県民の力、国民の力でご理解いただくようなものがあれば最終的に私どもの考えがご理解いただけると思う。

 -県側から国を提訴するのは初めてではないかと思うが、その意義。背景をどう考えるか。

 知事 心情的に言わせてもらうとやむにやまれずですよね。私の歴史認識含め戦後の成り立ち、今の日米安保体制の現状、沖縄の過重な負担、もろもろ置いてなおかつ今日の一連の1、2年の経緯でも、私が当選してもお会いしてもらえない、その中で私たちからすると強権的な一つ一つの手法、こういったものを考えると心情的な県民の誇りと尊厳を守る意味からするとやむを得ないものだと思っている。

 そういうものを置いておいても、いま行われている沖縄での状況は、本来国のあるべき姿とか地方自治とか民主主義という意味からも客観的に厳しい状況だろうと。今のままでは日本は一体どうなるのかという思いがある。日本という国をある意味愛してるがゆえに、今の現状は先行きの厳しさを感じていて、沖縄のみならず日本国全体の厳しい環境になっていくのではないかと。そういうことも含めて私なりに思いはある。

 -知事の支持母体会長の宮城篤実氏が「裁判の勝ち負けも大事だが、一番尊いのは基地を容認せず全力で闘うこと」という趣旨のことを言っていた。知事も県民にとっての尊さのようなものを感じているか。

 知事 まさしくいまオール沖縄、イデオロギーよりアイデンティティーという形で保守の重鎮の宮城篤実先生がそうおっしゃったなら、私たちのイデオロギーに基づくことではなく県民、日本国全体での民主主義、地方自治、自己決定権、こういったこと等を含めると先生がおっしゃるように不退転の決意で思いを遂げていくと。

 それが私たちの責任世代の役割だと思っている。確かに厳しい環境にはあるが後ろ姿をしっかりと子や孫にみせることによって、子や孫が自分の生まれた沖縄に誇りをもって勇気をもってそれぞれの世代にはそれぞれの世代の感覚があるので、いまの私たち責任世代の思いを吸収して彼らなりの思いでもってふるさと沖縄の将来を担っていくということにつながっていくのであれば、私たちの役割はそこにあるのではないかと思う。