新基地建設の埋め立て承認取り消しをめぐり、沖縄県と国が互いを訴えた二つの裁判が同時に進行する。

辺野古新基地建設の経緯と想定される流れ

 国が県を訴えた代執行訴訟は来年1月8日に第2回、同29日に第3回の口頭弁論が予定されている。両訴訟とは別に、国地方係争処理委員会が12月24日、県の申し出を却下すると結論づけたことを不服として、県は高裁に提訴する方針だ。

 県が25日に起こした抗告訴訟は、口頭弁論の期日の設定について法律上定めがなく、見通しは不透明。県側の竹下勇夫弁護士は執行停止の申し立てへの裁判所の判断時期について「裁判所がどう判断するかによって違ってくる」と述べている。

 すでに始まっている代執行訴訟は翁長雄志知事の埋め立て承認取り消しの適法性を争うのに対し、抗告訴訟は承認取り消しの効力を停止した石井啓一国土交通相の決定が適法か否かが争われる。

■菅氏「極めて残念」 全面的に争う姿勢示す

 【東京】菅義偉官房長官は25日の会見で、辺野古の埋め立て承認取り消しを執行停止した石井啓一国土交通相の決定は違法だとして翁長雄志知事が、抗告訴訟の提起を表明したことに対し、「極めて残念だ」と述べ不快感を示した。

 菅氏は、辺野古をめぐり県と国の法廷闘争に発展している現状に関し、「17年前に当時の名護市長、県知事からの合意を得て進めてきた」と主張。「普天間飛行場の危険性はそのままになっており、(争いは)やむを得ない」と述べ、全面的に争う姿勢を見せた。

 中谷元・防衛相は2013年の仲井真弘多前知事による承認手続きには「何ら瑕疵(かし)はない」と指摘。「一日も早く普天間飛行場の移設が完了するよう全力を挙げる」と語り、裁判に関係なく工事を進める考えを示した。

 島尻安伊子沖縄担当相は「基地問題でいろいろな事情があるのは承知している。裁判は関係省庁がルールに従って進める」と述べるにとどめ、評価を避けた。

 一方、県と政府の対立による沖縄振興への影響は「ない思う」と否定。対立が県民生活に資するのかとの問いには、「振興担当としては基地のところのコメントは差し控えたい」とした。

 24日に国地方係争処理委員会が県の審査申し出を却下したことに、石井国交相は「(同委は)法令に基づき対応されたと認識している」と語った。