【名護】「ムタおばあちゃんは、シマナの種も子孫もたくさん残してくれた。この種は100年前のDNAを引き継いでいる」。名護市二見の比嘉松繁さん(81)と君枝さん(76)夫妻は、松繁さんの祖母ムタさんが作り続けたシマナ(和名カラシナ)の種を大切に守り継いでいる。

シマナ(左手前)の種を手にする比嘉君枝さんとひ孫の當山架音さん=名護市二見

 幼くして両親を失った松繁さんは、祖父の松さんと祖母のムタさんに育てられた。2人が生計を立てた段々畑には、シマナが栽培されていた。「葉が赤いので赤シマナ。はなぱんちゅん(鼻にピンと来る)ほどおいしい」と笑う松繁さん。「戦の時も茶わん一杯の種を台所の奥に隠していたようだ」と明かす。

 種取りや栽培の方法を教えてくれたムタさんは1942年、73歳で他界。旧与那城村宮城島出身の君枝さんは「一緒に暮らしたのは3年間だけ。この種はおばあちゃんが残した、くゎーまーが(子孫)です」と話す。毎年4月に松繁さんが畑を耕し、君枝さんが種をまく。夏の終わりには2人で葉の収穫。同時に君枝さんは種取り作業を進める。ビニール袋に蓄えた種は、冷蔵庫で大切に保管。ことしも5合の収穫があった。

 2人は子ども7人、孫22人、ひ孫28人に恵まれた。次女のゆかりさん(50)は「後は私が継いで、いつまでも残します」。ひ孫の當山架音さん(与那原小2年)は「シマナはとっても辛い。でも種はとってもかわいい」と話した。(玉城学通信員)