精神障がい者を家の一室や敷地内の小屋に隔離する「私宅監置」跡の保存と歴史を継ぐ4月の写真展とシンポジウムに向け、狭あいな空間や暗闇を追体験するレプリカ制作が始動した。制作を担う沖縄県立芸術大学の学生らが15日、監置小屋が現存する本島北部の現場を確認。“治安維持”を理由に長年閉じ込められた当事者の苦悩に思いをはせた。

監置小屋の大きさをメモする県立芸術大学の(左から)野底光一郎さんと岸本大河さん、岸本さんの父吉博さん=15日午後、本島北部

真っ暗な監置小屋の中から見た縦15センチ、横20センチの小窓。食事の出し入れに使ったという

監置小屋の大きさをメモする県立芸術大学の(左から)野底光一郎さんと岸本大河さん、岸本さんの父吉博さん=15日午後、本島北部 真っ暗な監置小屋の中から見た縦15センチ、横20センチの小窓。食事の出し入れに使ったという

 芸大生は、デザインを専攻する2年の岸本大河さん(21)と野底光一郎さん(21)。精神障がい者らの就労支援施設「てるしのワークセンター」(南風原町)に勤める岸本さんの父吉博さん(50)が保存活動に関わる縁で、白羽の矢が立った。

 沖縄での私宅監置は1972年の日本復帰まで法的に認められていた制度。小屋には昨年7月に89歳で亡くなった男性が、52~66年のほとんどの期間、監置されていたとみられる。

 昼間でも真っ暗な3畳ほどの屋内に入った野底さんは「こういうものがあったこと、大昔の話ではないことに衝撃を受けた。この重苦しさ、寂しさをどう再現するのか。なかなか難しい」と圧倒された様子。岸本さんは「思った以上に窮屈。頑丈なコンクリートで造られ、社会から拒絶された感じがした」と語った。今後、材料や大きさなどを検討し、4月に県立博物館・美術館である展示会に向けて制作に入る。

 現場に同行した県精神保健福祉会連合会の山田圭吾会長(63)は「いつまで続くか分からない苦しみの中にいた人々の気持ちを、少しでも追体験してもらうことが大事」と意義を話す。

 八重山地区の精神障がい者の家族でつくる「やらぶの会」理事で、姉2人が統合失調症という玉城由香里さん(31)は「目に見える形で歴史を継承することが、二度と繰り返さないという未来につながる」と力を込めた。