年をまたぐ大問題はめじろ押し。これだけは年内にすっきり解決かと期待していただけに、残念でならない。最高裁が夫婦同姓を義務付ける民法の規定を合憲だと追認した

▼原告が望んだ選択的別姓を簡単に言うとこうだ。「あなたたちが一緒の姓になる選択を尊重します。私たちは別姓にしたいので、それも尊重してください」

▼明治まで普通だった別姓が、なぜか家族の絆や伝統を壊すという主張がある。ともあれ、同姓を望む人は今のままで困らない。問題は、現に苦しんでいる人に強制を続けるのかどうか

▼ところが最高裁は同姓が「社会に定着している」から、つまり多数派だから構わないと決め、国会の議論にげたを預けた。多数決で守れない少数者の人権を守るのが裁判所なのに。仕事の放棄ぶりは消火活動を外注する消防署か、出前を取る食堂か

▼多数与党に君臨する安倍晋三首相はやはり「家族の在り方に関わる」と別姓に慎重だ。先に国家があって、家族と国民がいる。家族を統治の最小単位とみる思考がにじむ

▼話は逆で、「家族の在り方に関わる」からこそ名乗り方を国家が決めてはいけない。人や家族は国家より先にあった。その権利は他者に迷惑をかけない限り尊重される。原則が危ない。違うことを認め合える社会に向けて、一歩でも進める新年にしたい。(阿部岳)