飲食店が立ち並ぶ那覇市安里「栄町」の一角にあるダイニングバー「肉バルDeee Hiii」が、SNS(会員制交流サイト)を活用した実践的な飲酒運転根絶作戦で注目を集めている。(社会部・比嘉太一)

腕をクロスさせ「×」印で「ストップ!飲酒運転」と意思表示する客と灰野さん(右端)=那覇市安里

灰野さんがダイニングバー「肉バル Deee Hiii」のフェイスブックページに投稿した画面。

腕をクロスさせ「×」印で「ストップ!飲酒運転」と意思表示する客と灰野さん(右端)=那覇市安里 灰野さんがダイニングバー「肉バル Deee Hiii」のフェイスブックページに投稿した画面。

 店長の灰野りょうさん(28)は若者たちが勢いよくジョッキを合わせ、ビールに口をつけようとした瞬間を見計らったように登場する。「車じゃないですよね?」「飲酒運転はしないと意思表示してもらえますか?」-。

 「ストップ飲酒運転!」の掛け声とともに、客に両手で「×」ポーズを作ってもらい、スマートフォンで撮影。同意を得た上で、同店の交流サイト「フェイスブック」に投稿している。

 「利用者が多いフェイスブック上で飲酒運転しないと誓った写真が公開されたら、責任感をより感じ酒を飲んでハンドルを握ろうとは思わないはず」と灰野さん。ネット上で「誰かに見られる」といった客の心理を突いたという。

 思いついたのは、飲食店同士で飲酒運転根絶アイデアを競い合った11月の那覇署主催のコンペ。偶然、店の近所で飲酒運転による死亡事故が発生し、店側も一方の「当事者」として取り組む必要性をあらためて痛感させられた。

 学生時代、千葉県でライフセーバーを経験した。飲酒した海水浴客が溺れ、楽しいはずの場が暗転する光景を何度も目にした。「酒場も同じ。飲酒運転は他人も自分も傷付ける。それを未然に防ぐことも私たちの役割では」と話す。

 那覇署が初めて企画したコンペでは、「ネットで意思表示し、拡散させるアイデアが奇抜だった」(當山達也署長)と評価され、最優秀賞に輝いた。今後の課題は、「打ち上げ花火」で終わらせず、どう継続し広げていけるかだ。

 ほかの地域では同様の企画で機運が高まったが、店の取り組みが途絶えた例もある。だが、灰野さんは「飲酒運転がゼロになるまで続ける。悲惨な事故を二度と見たくないし、起こさせたくないから」と話し、こう力を込める。「酒を提供する店こそ、飲酒運転を止められる最後の砦です」。

■今月、逮捕急増121人 月平均2倍に県警

 県警によると、今月に入り飲酒運転による逮捕者が急増している。28日午後6時現在で121人に上り、ことし1~11月末の1カ月間の平均約50人の2倍に当たる。1日当たり4~5人が逮捕されている計算だ。また、事故全体に占める飲酒絡みの死亡事故は3年連続、人身事故は26年連続でともに全国ワーストを更新する見通し。

 交通指導課によると、不拘束を含む摘発件数は1417件(11月末現在)で昨年同期比403件の増加。特に12月は「取り締まりを強化すればするほど数字に出てくる状況」(同課)だ。

 一方、交通企画課のまとめでは、飲酒絡みの死亡事故は27日現在、昨年同期比3件増の11件。人身事故は100件(11月末現在)。それぞれ全国平均の約4・5倍、2・6倍と「ほぼワースト確定」(同課)となっている。