1935沖縄 よみがえる古里

人工知能で色付く83年前の沖縄 色は230万枚の写真で学習

2018年3月18日 05:00

 降り出した雨の中で傘を差す女学生、多彩な品々が並ぶ雑貨店、陽光を浴びながら木々の下を行く人力車…。1935年に那覇や糸満、名護などで撮影された白黒写真に、230万枚の写真の色を学習したという人工知能(AI)が色を加えた。

突然の雨/降り出した雨に、傘やかっぱを広げる県立第三高等女学校の生徒たち。同校は戦後、名護高校に統合された

突然の雨/AIだけによる色付け写真

突然の雨/元の白黒写真

ぬかるみは裸足で/ぬかるみの中を裸足で歩く第三高等女学校の生徒たち

ぬかるみは裸足で/ぬかるみの中を裸足で歩く第三高等女学校の生徒たち

那覇の店先/たくさんの品物が並ぶ那覇市内の雑貨店らしき売り場の様子。左には「ボンタンアメ」の看板が見える

那覇の店先/たくさんの品物が並ぶ那覇市内の雑貨店らしき売り場の様子。左には「ボンタンアメ」の看板が見える

衣装箱を頭に/「ケー」と呼ばれる衣装箱を運ぶ女性。後ろには客待ちらしい人力車夫と「公設人力車駐車場」の標柱がある

衣装箱を頭に/「ケー」と呼ばれる衣装箱を運ぶ女性。後ろには客待ちらしい人力車夫と「公設人力車駐車場」の標柱がある

緑の木々と人力車/緑の木々の下を行く人力車。手前には割烹着の女性が写る

緑の木々と人力車/緑の木々の下を行く人力車。手前には割烹着の女性が写る

軌道馬車/糸満と那覇を結んだ軌道馬車。道路沿いに瓦ぶきらしき家が、左手のキビ畑の奥には集落が見える

軌道馬車/糸満と那覇を結んだ軌道馬車。道路沿いに瓦ぶきらしき家が、左手のキビ畑の奥には集落が見える

赤銅色の漁師/糸満の漁師の上原亀さんを写した1枚。たくましい腕は赤銅色に着色されている

赤銅色の漁師/糸満の漁師の上原亀さんを写した1枚。たくましい腕は赤銅色に着色されている

夫を待つ/糸満の港で、漁から帰る夫を待つ女性たち。右側の女性の口元から白い歯並びがのぞいている

赤瓦/赤瓦の家並みが美しい糸満の集落。2階建ての家も多く、豊かな地域だったことがうかがえる

夫を待つ/糸満の港で、漁から帰る夫を待つ女性たち。右側の女性の口元から白い歯並びがのぞいている

赤瓦/赤瓦の家並みが美しい糸満の集落。2階建ての家も多く、豊かな地域だったことがうかがえる

にぎわう市場/那覇市の市場の風景。手前の女性の手にはハジチがあるのが分かる

突然の雨/降り出した雨に、傘やかっぱを広げる県立第三高等女学校の生徒たち。同校は戦後、名護高校に統合された 突然の雨/AIだけによる色付け写真 突然の雨/元の白黒写真 ぬかるみは裸足で/ぬかるみの中を裸足で歩く第三高等女学校の生徒たち ぬかるみは裸足で/ぬかるみの中を裸足で歩く第三高等女学校の生徒たち 那覇の店先/たくさんの品物が並ぶ那覇市内の雑貨店らしき売り場の様子。左には「ボンタンアメ」の看板が見える 那覇の店先/たくさんの品物が並ぶ那覇市内の雑貨店らしき売り場の様子。左には「ボンタンアメ」の看板が見える 衣装箱を頭に/「ケー」と呼ばれる衣装箱を運ぶ女性。後ろには客待ちらしい人力車夫と「公設人力車駐車場」の標柱がある 衣装箱を頭に/「ケー」と呼ばれる衣装箱を運ぶ女性。後ろには客待ちらしい人力車夫と「公設人力車駐車場」の標柱がある 緑の木々と人力車/緑の木々の下を行く人力車。手前には割烹着の女性が写る 緑の木々と人力車/緑の木々の下を行く人力車。手前には割烹着の女性が写る 軌道馬車/糸満と那覇を結んだ軌道馬車。道路沿いに瓦ぶきらしき家が、左手のキビ畑の奥には集落が見える 軌道馬車/糸満と那覇を結んだ軌道馬車。道路沿いに瓦ぶきらしき家が、左手のキビ畑の奥には集落が見える 赤銅色の漁師/糸満の漁師の上原亀さんを写した1枚。たくましい腕は赤銅色に着色されている 赤銅色の漁師/糸満の漁師の上原亀さんを写した1枚。たくましい腕は赤銅色に着色されている 夫を待つ/糸満の港で、漁から帰る夫を待つ女性たち。右側の女性の口元から白い歯並びがのぞいている 赤瓦/赤瓦の家並みが美しい糸満の集落。2階建ての家も多く、豊かな地域だったことがうかがえる 夫を待つ/糸満の港で、漁から帰る夫を待つ女性たち。右側の女性の口元から白い歯並びがのぞいている 赤瓦/赤瓦の家並みが美しい糸満の集落。2階建ての家も多く、豊かな地域だったことがうかがえる にぎわう市場/那覇市の市場の風景。手前の女性の手にはハジチがあるのが分かる

 写真はいずれも朝日新聞社提供。カラー化は首都大学東京・渡邉英徳研究室によるもので、早稲田大学の石川博教授の研究グループが開発した技術を活用した。

AI着彩、取材で補完 記憶呼び起こし故郷再現

與那覇里子 沖縄タイムス記者

 83年前の色を求め、白黒写真を当時の風景により近づけていく試みが2017年7月、始まった。1935年に撮影された写真をデジタル化した白黒写真と人工知能(AI)が自動で色を付けた写真を携えて東京から沖縄に向かった。

 AIは事前に学習していたデータを元に、海は海、髪は髪といったように具体的な「物」を学習し、色を付けている。しかし、沖縄特有の赤瓦や農産物などについては、学べていない可能性が高い。

 当時の色に近づけるためには、撮影場所や当時の色合い、写り込んでいる物などさまざまな情報が必要になってくる。当時のことを知る人を訪ね、写真に写る町を歩き、市場を回り、図書館で戦前の資料を探していった。

 作業を進めたのはセーラー服姿の女子学生たちが自転車を止め、傘を差そうとしている写真。撮影場所は不明。写っているのは沖縄県立第三高等女学校の生徒たち。戦後、名護高校に統合された同校を1945年に卒業した岸本志保子さん、久場豊子さん、知念靖子さん、古堅輝子さんの4人に話を聞くことができた。

 白黒写真を見ながら「夏の制服だね」「まだ紺色のひだスカートのころ」と話が弾む。直後に見せた色付け写真も食い入るように見つめ「よくできているね」「芝も木もまさにこの色」「靴も白だったね」と感心した様子だ。

 一方、「傘の柄はもっと赤い」「かっぱはカーキ色」と指摘が出てきた。話によると、どちらも戦争が近づくにつれ見なくなった物だという。それぞれの記憶にも濃淡があり、はっきりと覚えていたのは2人だった。

 パソコンの画面に表示させた約30種類の「カーキ色」から、近い色を探してもらった。2人が「絶対にこれ」と言って同時に同じ色を指した。その色は、黄土色に近い薄いカーキだった。

 人間が分からないものはAIも色付けはできない。恐らく、現在と当時のかっぱは色が異なることなどが理由で、AIの付けた色が違うものになったのだと考えられる。AIの色付けを絶対的なものだと思うと、見えなくなるものがある。

 色が付いた写真によって呼び起こされる人々の記憶が、83年前の沖縄をよみがえらせようとしている。今後も当時の色に近づけるための作業は続く。(首都大学東京渡邉英徳研究室在籍)

写真集「沖縄1935」発売

 戦火に包まれる前の沖縄がよみがえります。待望の写真集が朝日新聞出版から全国販売。「糸満」「那覇」「久高島」「古謝」と地域ごとに章立てされ、82年前の人々の生き生きとした様子が鮮明なモノクロ写真で紹介されています。

 ■朝日新聞出版

 ■A4判変型

 ■1,800円(税抜)

  全国の書店のほか、大手通販サイトamazon等でも購入できます。

写真集 沖縄1935
写真集 沖縄1935
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朝日新聞出版 (2017-07-31)
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