自民党の宮崎謙介衆院議員(34)が「子どもを育てるために育児休暇を取る」と宣言した。女性の活躍を阻む壁は、妻に集中する家事・育児負担と、それに不寛容な組織風土にある。21世紀にふさわしい職場環境を国会自らがつくり出すいいチャンスだ。

 宮崎氏の妻は自民党の金子恵美衆院議員(37)で、来年2月に出産を控えている。夫婦とも国会議員で忙しく、実家から遠い東京で子育てをしなければならないなどの理由から、1カ月程度の休暇取得を検討。国会議員には育休規定がないため、本会議のたびに欠席届を提出し休暇を確保する方針という。

 男性議員では初となる育休をめぐっては、野党も巻き込んでの論争が起きている。

 目立つのは「1票が法案の成立を左右するような局面で、国会議員の役割をどう果たすのか」「給料をもらいながら育休を取ることは許されない」といった慎重意見だ。

 国民の負託を受けた国会議員の役割は重い。高い報酬を得ているのだから育児サービスを使えばいいという声も分からなくはない。

 しかし当事者だからこそ見えてくる問題もあるのではないか。国の中枢である国会で、具体的な行動を通して意識改革を図っていくことは、女性の社会進出に大きな意味を持つ。

 例えばデンマークでは国会議員に最長1年の育休があり、落選者の中から上位だった人が代理議員を務める仕組みがある。

 仕事の特殊性を強調するよりも、どうやったら取得できるのか、ルール作りこそ急ぐべきだ。

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 政府は「少子化社会対策大綱」の中で、男性の育児休業取得率を2020年までに13%に引き上げる目標を掲げている。にもかかわらず14年度の取得率は2・3%と低迷。目標までの道のりは遠い。

 NPO法人ファザーリング・ジャパンの調査で、妻の出産後に休みを取ったことがない男性が半数以上に上り、休みを取った場合も、その半数近くが有休などを使った「隠れ育休」だったことが分かっている。

 男性の育休を妨げる「パタニティーハラスメント」(パタハラ)が新たな問題として浮上する中、上司や同僚の理解、出世への影響などを考え、言い出せない雰囲気があるのだろう。

 宮崎氏の育休取得についても、自民党幹部から「やる気がないなら休めばいい」という冷ややかな声が漏れている。育児を女性に押し付けるパタハラにつながる言動だ。

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 国会で「産休」が認められるようになったのは、2000年の橋本聖子参院議員の出産がきっかけだった。産休といっても欠席の理由に出産が加わっただけのこと。

 安倍政権が掲げる「女性が輝く社会の実現」には、男性の家事・育児参加が欠かせない。少子化対策で叫ばれるのも、男性の働き方の見直しで、子育てに不寛容な組織風土の変革だ。

 強固な男社会である国会から、まず変わらなければならない。