子どもの貧困とは何か、沖縄の課題は。県子どもの貧困対策検討会のメンバーで、生活困窮者支援に携わる濱里正史さん(50)=県就職・生活支援パーソナルサポートセンター南部所長=に話を聞いた。(聞き手=「子どもの貧困」取材班・高崎園子)

「子どもが自分の可能性を見つけられるチャンスが多い環境が貧困を防ぐ」と話す濱里正史さん=那覇市内

子どもの貧困に関連する指標

「子どもが自分の可能性を見つけられるチャンスが多い環境が貧困を防ぐ」と話す濱里正史さん=那覇市内 子どもの貧困に関連する指標

 子どもの貧困には「経済的な貧困」と社会的に孤立する「関係性の貧困」がある。何らかの要因で、その子がもともと持っている可能性や潜在力を発揮できない状況ともいえる。

 貧困が世代間で連鎖している場合、本人の力だけで抜け出すのは至難の業だ。自己責任論では解決しない。

 医療分野では早期発見・治療が常識。就学前など、早い段階での予防的支援が重要になる。一人一人の状況に合わせたサポートが大切。父母を支援しながら、子どもの置かれた環境をトータルで援護していくことが必要だ。

 たとえ家庭に問題があっても、社会やほかの大人に助けられた経験があれば、人を信じ、SOSが出せるようになる。

 貧困がすぐ隣にあるのが、沖縄社会だ。平均賃金は全国の7割で物価は9割。賃金に比べ生活にかかる費用が高く、暮らしにくい。

 長時間労働やダブルワークで生活をぎりぎり維持している層が多いので、病気やけが、離婚などのきっかけで、すぐ貧困に陥る。

 戦後復興の在り方、産業構造に問題がある。多様な地場産業が育たず、第三次産業に偏っていて単調だ。

 社会にはさまざまな適性をもった人がいるので本来、いろいろな仕事がある方がいいが、選択肢が少ない。子どもの貧困支援の先には、多様な人材を受け入れる社会をつくるという最終目標がある。

 沖縄の中南部は114万人が住む「都市社会」。沖縄戦でもともとの地域コミュニティーも破壊された。ユイマールがあるから何とかなる、という甘い状況にはない。

 人工的、意識的に、新しい相互扶助の仕組みをつくらないと、貧困の問題は解決しない。子ども食堂など、問題に気付いた人たちが少しずつ動いてきているが、もっと広い層に問題を意識してもらう必要がある。

 行政として、子どもの教育や福祉に金をかけることは沖縄社会をより良くするための先行投資になる。10年、20年後に活躍する人が増えれば、税収が上がり、全般的に人材が底上げされ、企業にも力が出る。

 知事が先頭に立ち、子どもの貧困問題を県民運動にしてほしい。