政治家や芸能人も足を運び、多くの人に親しまれた那覇市久茂地の和食料理店「割烹(かっぽう) やま川」が昨年12月で店を閉めた。35年の歴史を持ち、多くの常連客もいたが、不景気も痛手になり閉店を決意。家族総出の大仕事で最後の日を締めくくった。

大みそかに仕出しの準備をする山川健二さん(右から2人目)と妻の啓子さん(同3人目)。息子や娘も駆け付けた=昨年12月31日、那覇市久茂地

 昨年の大みそか。仕出し料理を作っていた店主の山川健二さん(73)が、手を止めた。「惜しまれるのはありがたいけど、つらくもあります」。一緒に店を切り盛りしてきた妻の啓子さん(70)と長男の健志さん(45)に加え、繁忙期に手伝う次男の雅志さん(39)もそろった。長女の亜希さん(35)は香港から駆け付けた。

 1981年8月8日、37歳で店を構えた。周囲は空き地だったが、有名企業がオフィスを構えるのに目をつけた。看板は、県内では珍しいスッポン料理。バブル時代は企業が得意先の接待で店を使うようになり、テレビの料理番組で知名度も上がった。

 小渕恵三氏ら有名政治家や、ビートたけしさんら著名人も訪れた。「吉永小百合さんは立ち居振る舞いが違っていた」と山川さん。

 しかし、不景気が長引き、自身も高齢になったことで昨年9月に閉店を決めた。19歳から大阪、京都、奈良と日本料理の本場で修行を積み、27歳で沖縄に戻った。こんなに長く店を開くとは思いもしなかった。

 訪れた有名人は限りないが、調理場に立つ原動力は料理人の原点。「『おいしかったよ』と言われるのが、何よりの喜びだった」。寂しさをたたえながらも「店を手伝ってくれた妻と子どもたちに感謝しています」と笑顔を見せた。