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  • 沖縄初のアワビ養殖に取り組む北大東村が、生産体制を整えた
  • 高価格帯の商品で、輸送コストなど離島の課題を乗り越える
  • 将来は干しアワビなど村内での商品加工で雇用の拡大も狙う

 北大東村が沖縄県内初のアワビ養殖に取り組んでいる。昨年は陸上養殖施設、ふ化施設が完成し、台風などの自然環境に左右されない一貫した生産体制を整えた。今年12月に初出荷を予定。将来的には国内大都市圏やアジアへの出荷を目指す。高単価なアワビの生産で輸送コストなどの離島のハンディを克服し、新たな産業の創出を目指す。(政経部・照屋剛志)

今年12月の出荷を目指し、北大東村の陸上養殖場で生産されているアワビ=2015年12月28日、同村港

北大東村の陸上養殖施設

今年12月の出荷を目指し、北大東村の陸上養殖場で生産されているアワビ=2015年12月28日、同村港 北大東村の陸上養殖施設

 同村は2011年に陸上養殖の技術研究を開始。村や地元企業などで構成する養殖産地協議会を立ち上げ、幅広い枠組みで陸上養殖の可能性を探っていた。

 くみ上げた海水を浄化して繰り返し利用する閉鎖循環型養殖の技術確立の見通しが立ち、昨年11月から本格的な生産に乗り出した。閉鎖循環型養殖は病原菌の侵入を抑制できるほか、台風や気温の変動などといった外部環境に影響されない利点があるという。

 昨年4月に気温と水温を管理できる閉鎖型の陸上養殖施設、10月にはふ化施設を整備。11月から石川県産アワビの稚貝の養殖を始めており、今年12月の出荷を予定している。産業化に向けて生産量を増やし、販路開拓にも取り組む。17年までに施設の最大生産可能量の約4万個まで出荷を拡大させる。

 アワビは高価格帯で、村は輸送コストなどの離島特有の課題を乗り越えられると判断した。那覇空港を拠点とした国際貨物ハブを活用し、東京や大阪などの国内大都市圏やアジアへの出荷を目指している。

 将来的には干しアワビなどのさらに高単価な商品も開発したい考えで、村内で加工まで手掛けて雇用の拡大も狙う。

 ヒラメやシラヒゲウニなどの養殖技術も研究し、品種を増やして安定収入につなげる。

 宮城光正村長は「将来的にも人口を維持するには、産業基盤をしっかり確立する必要がある。新たな産業として陸上養殖を島に根付かせたい」と話していた。