与野党が入れ替わり立ち替わり質問に立ち、約7時間にわたって質疑を重ねても、闇は深まるばかりである。

 参院予算委員会は19日、森友学園への国有地売却と決裁文書の改ざん問題を集中審議した。

 安倍晋三首相は昨年2月、衆院予算委員会で「私や妻が関係していたとなれば総理大臣も国会議員も辞める」と答弁した。書き換えが始まったのもこの時期からである。

 首相の国会答弁が決裁文書の改ざんを招いたのではないか-。

 野党の主張に対し、安倍首相は「答弁をひっくり返すような記述では全くない」と関連を否定。「決裁文書の変更については、一切私から指示はしていない」と強調した。

 安倍首相本人の指示がなくても、財務省が「忖度(そんたく)」して書き換えたり、官邸の誰かが何らかの「示唆」を行う、ことはあり得る話だ。

 複数の政治家の名前と共に、安倍昭恵氏の名前が書き換え前の文書に記載されていたのはなぜか-。

 野党の質問に対し、財務省の太田充理財局長は、こう答えている。

 「基本的に、総理夫人だということだと思います」

 文書改ざんをめぐる疑惑は深まるばかりだ。

 麻生太郎財務相、財務省理財局、自民党は、まるで示し合わせたように、当時、理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官にすべての責任を押しつけるような答弁や質問を繰り返した。

 今や政府も自民党も「佐川主犯説」の大合唱である。

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 誰が、何のために、決裁文書の改ざんを指示したのか。安倍首相や菅義偉官房長官が書き換えの事実を知ったのはいつか。肝心な点はまだはっきりしない。

 財務省が国会で語ったストーリーは、書き換え前の文書と佐川氏の国会答弁のつじつまを合わせるため、佐川氏が主導して書き換えを実行した、というものだ。

 佐川氏が文書改ざんの中心にいたことは疑う余地がないが、佐川氏にすべての責任を負わせるのはトカゲのしっぽ切りというほかない。

 決裁文書が政治的理由で勝手に書き換えられ、書き換えられた後の文書が国会に配布されるというのは、「憲政史上類のない重大な事件」であり、「内閣総辞職に値する」出来事である。

 佐川氏だけに責任をかぶせるだけで済むような軽い話ではない。

 佐川氏や昭恵氏など、関係者の証人喚問を急ぐべきだ。

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 ただ、証人喚問は真相究明に欠かせない前提条件ではあるが、決して万能ではない。 財務事務次官の聞き取りに対し、佐川氏は、刑事訴追を受けるおそれがあるとの理由で、経緯の説明を差し控えたという。証人喚問が実現したとしても、肝心な点の解明が進まないおそれがある。

 国会は今こそ、公文書管理法の改正や、内閣人事局の運営見直しなどを視野に入れた、真相究明と再発防止のための抜本的な対応を見せてもらいたい。行政を監視するのは国会の重要な役割である。