今年夏の参院選は日本の選挙制度が大きく変わる。選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられ、参院選から適用される見通しだからだ。

 全国で約240万人、県内でも約3万3千人が新しく有権者の仲間入りをする。

 沖縄タイムスが昨年12月、県内の15~18歳の若者242人にアンケートした結果によると、選挙権年齢引き下げに「賛成」が45%と積極的に受け止める人が半数近くに上る一方、「反対」の人も20・3%。賛成が「若者の意見が反映されやすくなる」「政治に関心が持てる」などで、反対が「知識が不十分」「周りに流されてしまう」などだ。

 初の18歳選挙権に際し、県内の若者の賛否の理由は期待と不安が入り交じった等身大の姿かもしれない。

 「選挙に行こうと思う」と答えた人が70・7%に上るのは心強い。というのは、県内では国政、知事、県議の各選挙で20代が年代別で最下位を占めているからだ。2010年の参院選では30%を割り込むまでになっている。

 元日紙面の高校3年生3人による座談会で女子生徒が「60歳以上のための政治がスタンダードになっちゃっているけど、安全保障関連法とか集団的自衛権は、若い人たちに関わる問題だから」と賛成の理由を述べている。高齢者の投票率が高く、そのため高齢者優遇政策が続く「シルバー民主主義」に対する異議でもある。男子生徒は「大学の教育費を下げてほしい。経済的に厳しくて、県外の大学に行きたくても県内を選ぶ人もいる」と若者に目を向けた政策を望む。我が事としての政治である。若者と政治の距離を縮める重要な視点だ。

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 鍵を握るのが高校で行われる主権者教育だ。教える側の教員も初めての経験だ。

 副教材として総務省と文部科学省が作成した「私たちが拓(ひら)く日本の未来」と教員向けの「指導資料」がある。

 懸念されるのは教員向けの「指導資料」全96ページのうち72ページ以降が「政治的中立性」に触れていることだ。自分の考えを押し付けたり、異論を攻撃したりするのは論外だが、中立性を強調するあまり、教員を萎縮させマニュアル化してしまう心配が消えない。

 中立性については県内の教員も「かなりナーバスになっている」(県選管職員)。

 県選管が昨年12月、初の選挙啓発指導者研修会に参加した高校教員にアンケートをしたところ、複数回答した84人のうち「政治的中立性の確保」(73人)「主権者教育の実施方法」(70人)に悩んでいることが浮き彫りになった。

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 新しいことには試行錯誤がつきものだ。「先生はどう思う?」と聞かれることもあろう。自分の考えを述べた上でさまざまな考えを紹介するのも一つの方法だろう。「正解」を出す必要はない。

 多様な意見に耳を傾け、議論を戦わせ、最終的に自分の選択をする。この積み重ねが選挙結果であり、民主主義の形である。主権者教育は民主主義の担い手を育てることである。細かいことに目くじらを立てるより、自由闊達(かったつ)な授業を後押ししたいものだ。