五感の中で嗅覚は記憶と密接に関わるといわれる。親しんでいた香りをかぐと、当時の出来事や光景の細部が脳裏に鮮やかによみがえることがある。それは「プルースト効果」とも呼ばれる

▼県産素材を使った商品開発・製造を手掛けるオキネシア(那覇市)の金城幸隆社長は沖縄在来の柑橘(かんきつ)「カーブチー」の香りが、幼い頃の心地よい特別な思い出につながるという

▼1日付特集面で、金城社長がカーブチーから高品質の濃縮オイルを抽出し、香水やオーデコロンに商品開発した事例が紹介された。郷愁を誘うさわやかなカーブチーを「沖縄を象徴する香り」として売り出したいという夢がかなった

▼かつての沖縄は舶来物をありがたがり、地元産を「シマーグヮー」と過小評価する傾向が強かった。最近は地元の産物の良さを見直す機運が高まり、各地で商品化の取り組みが始まっている

▼オリオンビール(嘉手苅義男社長)は伊江島在来の小麦の江島神力(えじまじんりき)を材料にした新商品の発泡酒「琉球ホワイト」を26日から限定発売する。県産素材の採用は初めてのことだ。製パンや製菓の業界で注目されていた伊江島産小麦が県産ビールになることは生産者の励みになる

▼まだまだ足元に宝は埋まっている。新たな魅力を紡ぐ現場の情熱あふれる挑戦に注目し、応援していきたい。(与那原良彦)