取材のため車で移動中、あちこちで見かけるイペーの鮮やかな黄花に癒やされる。見ごろもそろそろ終わりに近づきそうだが、街路に咲き誇るこの季節ならではの風景がいい

▼春の訪れを感じる時期。十数年ぶりに泡瀬干潟を訪れた。そこで見た異変が気掛かりだ。干潟を長年観察してきた市民団体が確認した海藻ホソエダアオノリの大量発生のこと

▼春先は海藻も繁茂する。だが、大量発生は昨年に続いて2回目で、それが原因とみられる貴重な貝類の死滅も確認されたという。市民団体は、埋め立て工事によって干潟が閉じ込められた状態となり、富栄養化したのではと推測する

▼神奈川県の貝類多様性研究所の山下博由所長によると、大量のアオノリが表面を覆うことで、海中の酸素が不足し、貝類が呼吸できなくなるという。今後は貝類以外への影響が出かねないとも

▼泡瀬干潟にはここにしか生息しない絶滅危惧種の海藻や多様な生物が息づく。耳を澄ませば、群れをなしたミナミコメツキガニがカサカサと音を立てて移動する。多くの渡り鳥も羽を休める

▼沖合では人工島の埋め立て工事が着々と進む。すぐそばでは干潟の悲鳴にも似た状況がある。きょうは春分の日。自然をたたえ、生物をいつくしむ日、でもある。自然と真摯(しんし)に向き合って考える日にしたい。(赤嶺由紀子)