沖縄出身のペルー移民を父方に持つ作家で演出家の神里雄大さん(35)=川崎市=のトークイベント(主催・おきなわ芸術文化の箱)が24日午後5時から、那覇市のアトリエ銘苅ベースである。昨年10月に発表した「バルパライソの長い坂をくだる話」が2月、「演劇界の芥川賞」と称される第62回岸田國士戯曲賞を受けるなど、型破りな作風が国内外の演劇シーンで注目を集める一人。イベントでは南米などの旅で見聞きした話や写真を用いながら、独自の世界観を緩く楽しく披露する。

「バルパライソの長い坂をくだる話」の一場面。初演の出演者はブラジルとアルゼンチン出身の4人で、スペイン語での上演に日本語の字幕を付けた=2017年11月、京都芸術センター(撮影・井上嘉和、提供・KYOTO EXPERIMENT事務局)

父方が沖縄出身の神里雄大さん。今後は、自らの言葉で観客に語り掛ける新たな表現方法「レクチャーパフォーマンス」にも挑戦したいという

「バルパライソの長い坂をくだる話」の一場面。初演の出演者はブラジルとアルゼンチン出身の4人で、スペイン語での上演に日本語の字幕を付けた=2017年11月、京都芸術センター(撮影・井上嘉和、提供・KYOTO EXPERIMENT事務局) 父方が沖縄出身の神里雄大さん。今後は、自らの言葉で観客に語り掛ける新たな表現方法「レクチャーパフォーマンス」にも挑戦したいという

 ペルー・リマ市で1982年、大宜味村にルーツがある父と北海道出身の母との間に生まれ、川崎市で育った。沖縄とは独特の距離感を置く。「住んだことはなく方言も話せないが、血は引いている。気付けば沖縄のことを語りそうになるけれど、あくまで外から見ているという前提を崩してはいけないと思う。DNAと理性が闘っている感じ」

 早稲田大学在学中の2003年に岡崎藝術座を結成。日常と劇的な世界を自由自在に行き来する手法などで作品を生み出してきた。近年は「他者への想像」がテーマ。「時間があれば旅をしている。異なる文化や言葉に合わないと、想像しなくなる」と語る。

 「バルパライソ-」は南米や東京・小笠原諸島、沖縄などでの取材を基に複数のエピソードで構成する。父親の生前の希望で遺灰を海へまきにきた男が登場するほか、那覇の路地裏の屋台で焼き鳥を焼く男が昼間は沖縄戦の遺骨収集をしているとの設定も。舞台は過去や人づてに聞いた話が入り交じりながら進み、京都の初演では観客はセットの一部として置かれたいすや二段ベッドなどで鑑賞した。

 今回のイベントを企画した県文化振興会の野村政之さんは「作品になっていないこぼれ話もまた面白い。沖縄の人に彼の存在や世界観を知ってほしい」と呼び掛ける。入場無料だが要予約。午後7時からはアルゼンチンの焼き肉「アサード」を楽しみながら懇親する第2部(有料)もある。

 問い合わせはメールアドレス、oact@m-base.okinawa